PR誌から

 ツバキの実が、やや色づきはじめていました。常緑樹で葉に艶があります。

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 先日、講談社のPR誌「本」9月号を入手し、新刊エッセイを見ると、四方田犬彦の「愚かしさとは何か?」が掲載されていました。冒頭に、《このたびわたしが上梓する『愚行の賦』は、愚かしさについて書いた本である。》とあり、本書は《実をいうと本書は三部作の第二部である。第一部『摩滅の賦』は、二〇〇三年に筑摩書房から刊行された。世界中に存在している物体が、時間の経過とともに磨り減って劣化していくありさまについて書いた本である。》という。
 《今回の『愚行の賦』はそれに対し、徹底して人間界のことを描いている。》ようだ。

 「本」9月号の出版案内によると、
 

愚かしさとは人間の本質なのか。フローベールドストエフスキーニーチェ、バルト、そして谷崎潤一郎。「愚」という尊き徳をめぐる長篇論考。

 

 

愚行の賦

愚行の賦

 

 

カツベンっておもしろい!

 イチョウの木の実が見られる季節になった。下から眺めると丸い形をしている。実は薄く色づきはじめていた。

 

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イチョウ科の裸子植物。一科一種。落葉高木で、高さ約三〇メートルに達する。葉は扇形で中央に裂け目があり、秋に黄葉する。雌雄異株。春、葉の付け根に、尾のような雄花、柄のある二個の胚珠(はいしゅ)をもつ雌花をつけ、四月ごろ受粉し、九月ごろ精子によって受精が行われる。果実は丸く、外種皮は熟すと黄橙 (おうとう) 色で、内種皮は白い殻となって種子を包む。種子は銀杏(ぎんなん)とよばれ、食用。幹や枝から気根を垂らすことがあり、乳(ちち)の木ともいう。中国の原産で、盆栽や街路樹に多用され、材は碁盤・将棋盤などに使われる。  『大辞泉

 

 

 大辞泉の引用句は、「銀杏散る遠くに風の音すれば」富安風生。

 この夏の読書で楽しめた本に、佐々木亜希子著『カツベンっておもしろい!』がありました。映画のカツベンをされている活動弁士佐々木亜希子さんの新刊です。これまで活弁映画鑑賞会で、佐々木さんのカツベンを楽しんでいました。この本では、活動弁士になろうとした経緯(いきさつ)や師匠の活動弁士澤登翠さんについても書かれています。
 佐々木亜希子さんのカツベンで鑑賞した作品で面白かったのは、

 

 小津安二郎監督の映画『東京の合唱(コーラス)』(1931年、松竹キネマ) 

 フレッド・ニューメイヤーサム・テイラー監督の『ロイドの要心無用』(1923年)
 バスター・キートン、ジャック・ブライストン監督の『荒武者キートン』(1923年)
 アルバート・パーカー監督の映画『ダグラスの海賊』(1926年)
 バスター・キートン監督の映画『キートン将軍』(1926年)
 ルパート・ジュリアン監督の映画『オペラの怪人』(1925年)
 五所平之助監督の映画『伊豆の踊子』(1933年、松竹キネマ)

 

カツベンっておもしろい!  現代に生きるエンターテインメント「活弁」

カツベンっておもしろい! 現代に生きるエンターテインメント「活弁」

  • 作者:佐々木亜希子
  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

「図書」8月号から

 ザクロの木に果実が鈴なりになっていた。葉はつやつやとした光沢がある。ザクロの実をさわると硬い。

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 「図書」8月号に連載が始まった、四方田犬彦の「虚言の文学者」(大泉黒石ーー1)を読んだ。四方田犬彦著『月島物語』で大泉黒石について書かれていたのをまず思い出した。
 大泉黒石の息子が俳優の大泉滉(あきら)で、成瀬巳喜男監督の映画『めし』(1951年)、小津安二郎監督の映画『お早よう』(1959年)、中村登監督の映画『集金旅行』(1957年)、木下惠介監督の映画『破れ太鼓』(1949年)、溝口健二監督の映画『西鶴一代女』(1952年)に出演している。

参照:https://1000ya.isis.ne.jp/0173.html

 

月島物語 (集英社文庫)

月島物語 (集英社文庫)

 

 

 

月島物語ふたたび

月島物語ふたたび

 

 

湯煙の中なる蝉に法師蝉

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 街路樹のオリーブの木に、くすんだ黄緑色の果実が鈴なりになっていた。二センチほどの大きさで、葉は細長く、実をさわると硬い。

 モクセイ科の常緑高木。高さ七~一八メートル。葉は細長く、表面が暗緑色、裏面が銀色で、対生する。五~七月ごろ、黄白色の香りのよい花を総状につける。黄緑色の実は熟すると黒紫色になり、油がとれる。地中海地方の原産で、日本では小豆(しょうど)島などで栽培。  『大辞泉

 「湯煙の中なる蝉に法師蝉」
 中村汀女の昭和二十二年(1947年)の俳句です。
 「八月一日、別府丹生家に滞在、夫人と松浦氏と温泉巡りす」という前書きがある。

おはぐろの舞ふとも知らで舞ひ出でし

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 先日、公園の池にショウジョウトンボや蝶トンボを見つけた。ショウジョウトンボはハスのつぼみにとまっていて、吹く風にゆーらゆーらと静かに風にゆられていた。チョウトンボは近くに寄っても逃げる気配がない。観察のため接近することができた。チョウトンボは危険を察して飛び上がる時に、五メートルほどの高度に飛び上がる。水平への移動でなく垂直方向へ急速に上昇した。

 「おはぐろの舞ふとも知らで舞ひ出でし」

 「雨近し揚羽にはかに飛びちがひ」

 中村汀女の昭和二十二年(1947年)の俳句です。

「ちくま」7月号から

 筑摩書房のPR誌「ちくま」7月号の新刊案内で、ちくま文庫濱田研吾著『俳優と戦争と活字と』に注目しました。徳川夢声著『夢声戦中日記』(中公文庫)という本の解説が濱田研吾氏。昭和十七年五月、徳川夢声は芝居の巡業に東京から九州へ向った。その一行に丸山章治、中村メイコ、中村チエコ、清水ミサ子が同行している。さて、『俳優と戦争と活字と』ではどのような資料から読み解いていくのでありましょうか。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784480436832

 

俳優と戦争と活字と (ちくま文庫)

俳優と戦争と活字と (ちくま文庫)

  • 作者:濵田 研吾
  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: 文庫
 

 

 

夢声戦中日記 (中公文庫プレミアム)

夢声戦中日記 (中公文庫プレミアム)

  • 作者:徳川 夢声
  • 発売日: 2015/08/22
  • メディア: 文庫
 

 

「ちくまさん」

 筑摩書房のPR誌「ちくま」8月号の新刊案内を見ると、西村ツチカさんの「ちくまさん」が、書籍化されるという案内がありました。《ちくまさんは、ちょっぴりドジだけど勤労意欲溢れるナイスレディ。PR誌「ちくま」の表紙と表2を飾った好評連載がオールカラーで待望の書籍化!》

 「ちくま」誌に連載中、西村ツチカさんのマンガは毎回楽しみでした。