今年は2月2日が節分である。節分は立春の前の日で季節の変わり目である。豆まきをしてわざわいをはらう。まだ寒さが残るが、もう梅の花がぽつぽつと咲きだしている。花びらからほんのりと良い香りがする。
椿(ツバキ)の木に赤い花が満開で、樹下に点々と赤い椿が落下していた。
松本たかしの俳句で、梅と椿を詠んだ句に、
「いささかの草履埃や梅日和」
「地に置きし梅の落花や貝の如」
「木洩日にうなづき止まぬ椿かな」
「いま一つ椿落ちなば立去らん」
先日22日、NHKのラジオ番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」は、「ヒミツの本棚」が宇佐見りん著『推し、燃ゆ』で、本の紹介(書評)と高橋源一郎による朗読を聴いた。後半のゲスト出演が、宇佐見りんさん本人だった。驚く。宇佐見りんと高橋源一郎の談話を聴く。
9月25日に放送された「飛ぶ教室」の「ヒミツの本棚」で紹介(書評)され朗読されたのが、宇佐見りん著『かか』であった。宇佐見りんさんの本『推し、燃ゆ』は「ヒミツの本棚」では二冊目の紹介本になる。
今回朗読のあとの『推し、燃ゆ』と『かか』をめぐる談話を面白く聴いた。
参照:https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/gentobu/Co9nDe3tpq.html
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/gentobu/DEK4O1YiRY.html
パブリッシャーズ・レビュー「白水社の本棚」2021年冬号が届きました。白水社のPR誌です。
次号(4月号)からはA5判小冊子にリニューアルされるというお知らせがありました。本号をもってタブロイド判としての発行は最後になるということです。2011年12月より、東京大学出版会・みすず書房と三社で刊行していたタブロイド判のPR誌は終了となるが、白水社は、次号より白水社独自のPR誌を発行するようです。リニューアルの3つのポイントを挙げています。
創業106年にして初の白水社独自のPR誌!
手にとりやすいA5判の小冊子!
連載増! 新刊紹介以外の読み物が増えます!
継続送付を希望する人は、同封の葉書に記入し2月末日までに返送してくださいということです。新規送付希望の方は、白水社ウェブサイトから。
先日、映画本を眺めていたら、渋谷実についての本を見つけた。志村三代子・角尾宣信編『渋谷実 巨匠にして異端』で、手に取って見ると、表紙の写真が渋谷実監督の映画『自由学校』の最後のシーンにある横に伸びた松の枝に佐田啓二と淡島千景の若い二人の恋人がぶらりぶらりと無心に子供のようにぶら下がっていて、地面に大きな身体(からだ)の佐分利信が眠っている。映画『自由学校』でもっとも印象的なシーンを表紙にしているので、この映画でのこのシーンを選んで本の表紙に装幀していることに感心した。渋谷実の映画を見て考えるのに最適な一シーンの映像だと思えるからだ。
昨年が、渋谷実没後40年だったようだ。
そういえば、初めて見たのは松竹キネマ90周年記念「喜劇映画の異端児 渋谷実監督特集」(2012年)であった。変な映画だ、コメディで皮肉たっぷり、笑える演出、にやりとした、強烈な風刺、悲劇なのか喜劇なのか、映画をめぐって談話をしたのが思い出される。
参照:http://www.suiseisha.net/blog/?p=13373
[座談会]熊谷勲・紙屋牧子・坂尻昌平・鷲谷花を読むと、渋谷実監督の『悪女の季節』で撮影中に火薬の爆発事故、乗り物の事故で負傷者(俳優を含めて)が出たことがあったという。そういう関係者によるゴシップ的なエピソードが語られている。撮影現場での事故などで映画は完成が遅れたそうだ。
昨夜、NHKのラジオ番組で「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いた。前半の「ヒミツの本棚」が藤本和子著『ブルースだってただの唄』が採り上げられて紹介される。リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』、『ビッグ・サーの南軍将軍』、『西瓜糖の日々』の翻訳者が藤本和子さんであり、ブローティガンの本の愛読者として、今回の「飛ぶ教室」の談話をわくわく興味深く聴いた。
後半の「きょうのセンセイ」のゲストが、翻訳家の岸本佐知子さん。
新作のエッセイ『死ぬまでに行きたい海』について高橋源一郎が質問をする。質問に答える岸本さんの談話も面白かった。昨年2月に開催された 晶文社 のブックフェアの「晶文社60周年記念冊子」の特別寄稿「この話、誰にもしたことないんだけど」と題して岸本佐知子さんが寄稿している。ブローティガンがなければ、今の自分はたぶんこの仕事をしていなかったにちがいないからだ、と述べている。
参照:岸本佐知子さんおすすめ 聞き書きの名著復刊。藤本和子著『ブルースだってただの唄』|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
快晴で最高気温は14℃、暖かくなった。冬咲きの牡丹(ボタン)が満開で色とりどりに目を楽しませてくれる。
「霜除に覗き窓あり寒牡丹」
「寒牡丹挿すやはなはだ壺貧し」
「調度みな之にふさはし寒牡丹」
松本たかしの昭和十三年(1938年)の俳句です。
昨年の暮に出た新刊の蓮實重彦の本に注目。『アメリカから遠く離れて』、『見るレッスン』、『言葉はどこからやってくるのか』の三冊である。
『見るレッスン』は新書で、蓮實さんの映画の見方が語られていて面白い。
一部を引用すると、
《つまるところ、わたくしたちが映画を見るのは、驚きたいからです。ところが、同時に安心したいという気持ちもある。驚きというものは安心とは逆のものであり、こんなもの見たことがないというような不思議な世界に連れていかれることですが、同時に、不思議な世界というのがことによったらどこかの何かに似ているかもしれないと思わされるのが映画です。驚きと安心とが巧みに塩梅されているものが映画なのだと思います。》189ページ
明けましておめでとうございます。
年末から正月にかけて寒波が襲来でした。
今日は最高気温が2℃、この冬一番の冷え込みです。
出版社のPR誌で「波」と「図書」の1月号で、「波」の表紙がミシェル・フーコーの写真です。筒井康隆の掌編小説、対談・加藤シゲアキ×宇佐見りん、辻山良雄のアントワーヌ・ローラン著『赤いモレスキンの女』の書評など読む。
『赤いモレスキンの女』の書評から一部を引用すると、
《そうしたすべての動きが自然であり、読んでいてストレスを感じさせない。この感じ、どこかで体験したことがあるなと思っていたら、エリック・ロメールやフランソワ・トリュフォーといった、同じ国の巨匠の名前がすぐに思い浮かんだ。そう、楽天的でありながら、生きるほろ苦さをしっかりと残した美しいフィルムの数々である。
いろいろ大変だけど、生きること自体がすばらしく、かけがえのないものなんだ。
そうしたメッセージが伝わってくる、大人のための人生賛歌である。》