2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「自然」というのは新しい言葉

午後3時過ぎ、にわか雨あり。その後すぐに晴れ上がる。南よりの風。むし暑い。 「自然というのは、日本語にはなかった言葉です。」、と多田道太郎は『からだの日本文化』という本で述べる。 私たちは、個別的に桜とか山桜、ヒヤシンスとかバラといった植物…

多田道太郎の方法、『からだの日本文化』

午後、雷鳴とにわか雨あり。むし暑い。南よりの風。 多田道太郎の『からだの日本文化』、2002年刊(潮出版社)の「あとがきにかえて」を読む。タイトルは「日本文化について」となっている。ここには、多田道太郎の方法が語られている。 私のとるべき一…

多田道太郎の『からだの日本文化』と映画『隠し剣 鬼の爪』

山田洋次監督の前作『たそがれ清兵衛』に話がどこか似ている映画『隠し剣 鬼の爪』を観た時に、西洋式に侍が銃を持って歩いたり走ったりする訓練のシーンがあった。なかなか上手く歩けない侍たち。右手が前へ出た時に右足も前へ出てしまい、歩行がちぐはぐに…

糸トンボと蛙のいる池

睡蓮と蓮の生えている池へまた寄り道してみた。睡蓮の花はつぼみで水面に顔を出していたり、水中に横たわっている。睡蓮の葉の上に小さな蛙たちが乗っかっている。それぞれ、一枚の葉の上に一匹でてんでんバラバラに違った向きでじっとしている。コンクリー…

睡蓮とめだか

夏至の日に訪れた公園の池に寄り道してみた。睡蓮の花のつぼみがふたつ水面から出ていた。水の中に隠れて横たわっているつぼみもあちこちに見える。雨模様の雲行きの夏至の日には気にならなかった蛙の鳴き声が、池の中から合唱しているように聴こえる。睡蓮…

夏至の蓮と睡蓮の池

夏至。空梅雨が続いていたが、午後ににわか雨あり。じきに止む。公園の池に睡蓮の花が咲いているというので見に寄ってみた。池の蓮の葉には、さっきまで降っていた雨の滴(しずく)が水銀のように丸まっていた。この丸い池をのぞいているのは、私ともう一人…

「田中小実昌さんと行く三陸」はシアトルが出発点であった

百日草の苗を二株、買う。それぞれピンクと黄色の大きな花を咲かせている苗だ。毎年、百日草を植えて花を楽しむ。長く咲き続けるので百日草と名づけられたのかな。 『コヨーテ読書』(青土社)のなかで菅啓次郎さんが「旅するコーヒー」という文で「湖と海の…

菅啓次郎の『コヨーテ読書』と夾竹桃の花

橋のたもとに夾竹桃の白い花が咲いていた。夾竹桃は大きく枝を伸ばして広がっている。川岸に夾竹桃が1キロメートルほども並んで植えられているだろうか。遥か彼方まで植えられている。川岸の向こうも同じように夾竹桃が並んでいた。 菅啓次郎の『コヨーテ読…

ネムノキの花

ネムノキの花が咲き始めた。近寄って葉っぱを手で摘まんでみる。ネムノキの葉はオジギソウのようには葉を閉じなかった。夜になると葉っぱを閉じて眠る。 夏の海は宝石のたそがれのように くすぶつてネムの花を見ている たそがれの人間はささやくだけだ しか…

多田道太郎の俳句的方法とアジサイの花

昨夜から久しぶりに雨が降る。晴天の日が続きカラカラになっていた土がこれで潤った。アジサイの花や葉が美しい。 多田道太郎の文章の方法について、『遊びと日本人』(角川文庫)の解説で、スペイン語から名づけたと見られるペンネームの、精神科医なだ い…

ポール・セローの鉄道旅行記の著者名

ポール・セローの鉄道旅行記については、阿川弘之が翻訳した『鉄道大バザール』、1977年刊(講談社)がある。このときのPAUL THEROUXという名前が、阿川弘之の翻訳では、ポール・セルーという著者名だった。 同じ作者の旅行記『古きパタゴニ…

枇杷の実と『怠惰への賛歌』

街路樹の夾竹桃が赤、白と花を増やしている。路地裏の家の庭先から枇杷の樹が伸びて、枇杷の実が鈴なりだ。ある時、北海道のひとに枇杷の樹は北海道にありますかと尋ねたことがあった。枇杷の樹は見たことがないと言う。枇杷の実はこの季節になると、近所か…

多田道太郎の『物くさ太郎の空想力』

多田道太郎の『物くさ太郎の空想力』1980年刊(角川文庫)で語られる「怠惰の思想」は興味深い。文庫の解説で富岡多恵子が、 この本の中の「怠惰の思想」を読まれるとはっきりするが、今の時代に「忙しいことは善きこと」に叛意を示すことは、とりもなお…

多和田葉子の放浪・翻訳・文学

先日の植木を刈った葉と枝がカラカラに乾いたので、集めて大きなゴミ用の紙袋へ入れた。あちこちでネギ坊主を目にする。近所のカラカラの乾いた土の家庭菜園のなかの一角にネギ坊主が立っていた。雨が降れば、アマガエルなども見れるかもしれない。 ユリイカ…

『父と暮せば』と宮沢りえの広島弁

街路樹の夾竹桃の花が咲き始めた。赤い花、白い花これから秋まで長く咲きつづけるだろう。夏の花、夾竹桃。夏といえば昨年のこの頃、黒木和雄監督の映画『父と暮せば』が話題だった。原作が井上ひさしの芝居『父と暮せば』で、その映画化ということで。7月…

多田道太郎の『遊びと日本人』とロジェ・カイヨワ

多田道太郎の『遊びと日本人』1980年刊(角川文庫)の中で、ロジェ・カイヨワはパチンコについて次のように言う。 パチンコで得られるものは明らかに眩暈(げんうん)であり、眩暈のみである。しかも、低次元の空虚な眩暈である」(『遊びと人間』) こ…