2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

四方田犬彦の『モロッコ流謫』のこと

『図書』2007年2月号で、四方田犬彦が最晩年のポール・ボウルズをモロッコに見舞った時の話を書いていた。 ボウルズが英訳の『徒然草』を読んでいたエピソードである。「そういえば最近こんな本を読んでいてねえ」といって見せてくれた後のやりとり。 …

「新・話の泉」を聴く

快晴で日差しが強い。川では渡り鳥が泳いでいる。ヒドリガモだ。 昨夜のNHKラジオの番組「新・話の泉」を録音しておいた。ラジオで聴いていて面白かったので、もう一度聴く。 出演者は立川談志、嵐山光三郎、山藤章二、毒蝮三太夫、ミッキー・カーチスで、司…

中野翠の『犬がころんだ』のこと

夕暮れ時に月が東に眺められた。すでに高く昇っている。通りにある白梅がちょうど見頃だ。白梅の周辺の地面には、ばら撒かれたように花びらが散っていた。うーむ。ほんのり香りが漂っている。 ブックオフで、中野翠の『犬がころんだ』1999年(文春文庫)…

アキ・カウリスマキのコメント

晴れて風も強く気温が低い。ぶるぶる。久しぶりに渡り鳥のヒドリガモの群れを見る。川岸の石に付いている海藻類をついばんでいるようだ。美味しそうに(?)黙々と食べている。 今週の『サンデー毎日』の「満月雑記帳」で、本居宣長を読みたくて書店へ出かけ…

水鳥も見えぬ江わたる寒さ哉

暖冬だったが、ふたたび寒くなった。快晴で風が強く吹いている。アオサギが川に、じっと立っていた。ゆっくり移動しながら、餌をさがしている。蕪村の安永六年の句に、 水鳥や夕日江に入(いる)垣のひま 水鳥も見えぬ江わたる寒さ哉 『青春と読書』2007…

ジャック・レモンのこと

道端のクローバーの生えている中に、小さなナズナが一輪咲いている。夕方からやや冷え込む。月は半月に近づいていて、天高く眺められた。 『週刊文春』に連載の小林信彦の「本音を申せば」を読む。今週号はジャック・レモンの初期の映画をDVDで観ているとい…

安岡章太郎の「危うい記憶」

通りの街路樹のモクレンが、つぼみを膨らませている。モクレンの花は開くと大きな湯飲み茶碗ほどになるので、つぼみも大きいなぁ。 ちょっと、つぼみを指で摘むと、ビロードのような滑らかさだ。 安岡章太郎の『カーライルの家』に所収の「危うい記憶」を読…

内山節の『「里」という思想』

今日は二十四節気のひとつ雨水(うすい)である。 二月十九日ごろ。水ぬるみ、草木の芽が出始めるころの意。 『大辞泉』 通りや畑に植えられた白梅が満開であった。花の香りが、辺りに漂っている。幹や枝の色と梅の花の白さにはっとする。蕪村の句に、 鳴滝…

安岡章太郎の『カーライルの家』

安岡章太郎の新刊『カーライルの家』(講談社)を読む。 「危うい記憶」と「カーライルの家」の二篇が収録されている。「危うい記憶」は小林秀雄をめぐる思い出などを語った、自伝的ともいえる文章である。長谷川泰子をめぐる「小林さん」から、ふと聞いた話…

多田道太郎の『自分学』

NHK教育テレビの「美の壺」という番組は、今夜は「箸」であった。 二本の棒で、割る、つまむ、混ぜる、巻くといったことができる。 箸にうるしを塗ると、デザインと耐久性に優れた品質になり、防水と防腐を兼ねていた。若狭塗り箸の製作工程を、福井県小浜市…

二もとの梅に遅速を愛す哉

快晴で日差しは強く、やや気温が下がる。通りの樹木の中に梅の木が花をつけている。夕暮れの闇が濃くなってゆく中で、白梅の白がほんのり見え隠れしていた。蕪村の安永三年(1774年)と四年の句に、 二もとの梅に遅速を愛す哉 しら梅や誰(たが)むかし…

『容疑者の夜行列車』の奇妙さのこと

多和田葉子の本のタイトルをめぐる、面白い指摘を読んだ。『群像』2007年2月号の《「翻訳の詩学」―〈エクソフォニー〉を求めて》と題した対談で、野崎歓が語る本のタイトルの奇妙さのことである。多和田葉子、柴田元幸、小野正嗣さんとの会話の中で、 …

×印が空に

紅梅が咲いていた。晴れた青空と紅梅と白い雲の色の対比が見事だ。 夕方、どういうわけか、平行線になった飛行機雲が何本も空に引かれていた。複数の飛行機が上空を飛んでいるのだった。延々と直線で伸びている。そこへもう一機の飛行機がやって来て、その飛…

内山節の『戦争という仕事』

早朝、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のマシンガン・・・マシンガン・・・という歌う声がラジオから流れて来る。J-WAVEの番組で、ジミ・ヘンドリックスをめぐって、時代背景とロックンロールの歴史と発展の話に耳を傾ける。彼の歌にはベトナム戦争が…

「美の壺」竹籠の巻

NHK教育テレビの「美の壺」は、《竹籠》(たけかご)の巻であった。竹籠は竹の編み方によって繊細な表情が変わってゆく。透かし編みで編まれた竹籠に日が当たって、竹の網目の模様の影の形、その模様にうっとりする。 竹籠に花を生けて、それを空間と共に愛…

お燈祭りの写真のこと

朝日の朝刊一面に《火の滝 山下る 和歌山・神倉神社》の「お燈祭り」の写真が載っていた。松明をもって石段を駆け下りる場面だ。 しばらく写真に見入っていた。ははっ、これが梅原猛の『日本冒険』(角川文庫)で述べられていた祭りなんだなぁ。 社会面に、…

イエラ・マリの本

橋のたもとに枝垂れ柳が風に吹かれている。春がやって来たような気温だ。白梅や椿の花が咲いたり、道端のヨモギもみずみずしい。 イエラ・マリの絵本を二冊見る。『と おもったら・・・・・・』と『まるい まあるい』。どちらもブロンズ新社刊。 エンツォ・…

安岡章太郎の『僕の昭和史Ⅲ』

通りすがりの畑に梅が咲いている。白梅だ。鳥が枝の密集した辺りに一羽見え隠れする。蕪村の明和八年(1771年)の句に、 風鳥(ふうてう)のくらひこぼしや梅のかぜ 鶯の枝ふみはづすはつねかな 「鶯の枝」は明和六年一月二七日の句。 安岡章太郎の『僕…

日の光今朝や鰯のかしらより

昨夜、節分で豆まきをする。焼きイワシを食べた。恵方巻という海苔巻きも。以前は海苔巻きは食べなかった気がするが、新しい風習なのかな。 晴れて暖かい。立春である。川に立てられた竹の篊(ひび)に、アオサギが一羽とまっていた。冬鳥の羽の色をしている…

ブルーノ・ムナーリの本

ブルーノ・ムナーリの『デザインとヴィジュアル・コミュニケーション』(みすず書房)の訳者あとがきを読んでいると、エンツォ・マリの名前が挙げられていた。なぜムナーリがアメリカの大学から招かれたのだろうか、という疑問に「アルテ・プログランマータ…

安岡章太郎の『ソビエト感情旅行』を読む

昨日から冷え込んでいる。ぶるぶる。寒い。山間部では積雪だそうだ。そんな冷え込んでいる冬の日なのだが、歩道のそばにもう菜の花が咲いていた。花の黄色が鮮やかだ。 夕方に昇った月は満月で、夜になってもしんしんと冷え込む。 NHKラジオで「いとしのオー…