2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

丸谷才一論ふたつ

今月の『群像』2013年3月号に菅野昭正氏の丸谷才一論が掲載されています。 「小説の夢を追いつづけて」というタイトルですが、副題は「丸谷才一追悼のために」とあります。 末尾に菅野昭正氏が書いている次の箇所にうなずくところがありました。 引用す…

バーゲンセール

先日、大型書店で洋書のバーゲンセールをやっていた。 英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語の本で、文学・思想、絵本が中心の展示であった。 須賀敦子によるイタリア語訳の本に『LIBLO D'OMBRA』があった。*1 Atsuko Ricca Sugaの名で谷崎潤…

抜き残す赤蕪いくつ余寒哉

快晴で、朝の最低気温が1℃、最高気温は11℃であった。乾燥している。 公園の梅が咲きはじめた。99パーセントは、まだつぼみである。 1パーセントの梅の枝を引き寄せて花の香りをかぐと、いいにおいがした。 「抜き残す赤蕪いくつ余寒哉」 「春寒き小包…

『中村さんちのチエコ抄』と中村正常のこと5

中村知会著『中村さんちのチエコ抄』の「二章 私の青春」に、中村正常について次のように述べている箇所があります。 正常は、結婚するまでは「蝙蝠座」の作家として脚本を書きながら、いくつかの出版社からの注文に応じて、けっこう作品を残しています。 正…

池内紀著『恩地孝四郎 一つの伝記』

18日、二十四節気のひとつ雨水である。 午後から雨上がり曇り空。最低気温4℃、最高気温9℃だった。 氷や雪が融(と)け、水ぬるみ、野や山で草木の芽が出始めるころである。 公園の梅の木のつぼみが、ふくらみ始めた。 最近読んだ本で、池内紀著『恩地孝…

映画『明りを灯す人』

「アジア映画特集 中央アジアの国々」からの1本。 11日、キルギスのアクタン・アリム・クバト監督の映画『明りを灯す人』(2010年、キルギス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、80分、カラー)を観る。 出演は、アクタン・アリム・クバト、タ…

セルゲイ・ソロヴィヨフ監督の映画『白い鳩』

「アジア映画特集 中央アジアの国々」と題して上映している作品の1本。 9日、カザフスタンのセルゲイ・ソロヴィヨフ監督の映画『白い鳩』(1986年、旧ソ連・カザフスタン、99分、カラー)を観る。観客は40人ほど。 出演は、スラーワ・イリュシチェ…

映画『恋するものたち』

2月は、「生誕100年木下惠介監督特集」と「アジア映画特集 中央アジアの国々」と特集が2本、映像文化ライブラリーで開催される。 8日、エリヨル・イシムハメドフ監督の映画『恋するものたち』(1969年、旧ソ連・ウズベキスタン、83分、白黒)を…

ラジオ文芸館、「戸の池一丁目」を聴く

朝のNHKのラジオ番組の「ラジオ文芸館」で、「戸の池一丁目」を聴く。 「ラジオ文芸館」は今日の放送は堀江敏幸の小説であった。 朗読が中村淳平アナウンサーであった。とても聴きやすい声で、上手い朗読である。 聴きながら物語の語り口が、以前に聴いた、…

『中村さんちのチエコ抄』と中村正常のこと4

中村正常の文学志向、文学活動はどんなものだったのか。 中村知会著『中村さんちのチエコ抄』に、後年、「芸術至上主義文芸」のインタビューに答えた中村正常の話を、妻の知会さんが引用しています。 「自分の書くものを、〈ナンセンス文学〉と名づけたのは…

『中村さんちのチエコ抄』と中村正常のこと3

中村知会著『中村さんちのチエコ抄』によると、劇団「蝙蝠座」が旗揚げしたのが、昭和五年二月のことで、第一回公演の〈女優ナナ〉は、築地小劇場で公演され連日満員の盛況ぶりでした。 主役の阿部艶子(芸名・三宅艶子)さんの水着姿に、観客の視線が熱く注…

『中村さんちのチエコ抄』と中村正常のこと2

中村知会著『中村さんちのチエコ抄』を読み継ぐ。 「築地小劇場」が分裂して、おとなしくしていた知会さんでしたが、後の夫となる中村正常さんとの出会いの場にもなる「蝙蝠座(こうもりざ)」のことが記されています。 それによると、 「築地小劇場」が分裂…

『中村さんちのチエコ抄』と中村正常のこと1

1日、午後より雨で夜半にかけて降り続く。南の風が吹いた。 2日、朝の最低気温9℃で晴れ暖かい。午後、気温が18℃まで上がる。 街路樹のつばきを見ると、まだつぼみだ。 1月の読書で面白かったのは、中村知會著『中村さんちのチエコ抄』である。 198…