2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「おじさんの哲学」のこと

最近、手にとって見た本に永江朗著『おじさんの哲学』がある。 面白かった。タイトルを見ると、海野弘著『おじさん・おばさん論』を連想するのですが・・・。 海野弘さんの本の影響があるのかもしれない。 たとえば、「おじさんの哲学」に登場する山口昌男の…

「しぐさの日本文化」の姿勢

新刊で多田道太郎著『しぐさの日本文化』が講談社学術文庫に入った。 手にとってみた。巻末の多田道太郎と加藤典洋の対談が面白い。解説対談である。「べしみ」への着目をめぐる談話なのだが、レヴィナスという人をめぐって興味深い指摘をしていた。 一部引…

おらが家の花も咲いたる番茶かな

前日の肌寒さから一変して汗ばむほど気温が上がった。最低気温14℃で、最高気温23℃。 公園の桜が見頃になった。ソメイヨシノである。 青空に花弁(はなびら)の白が見事だ。 樹下にシートを敷いてお花見の弁当を持参し花見をする人々の姿が見られた。 「…

『映画、柔らかい肌。映画にさわる』を読む

街路樹の枝垂桜(しだれざくら)が満開になっていた。 淡い紅色で白色っぽい花弁(はなびら)である。 枝先が垂れ下がっている。 芥川龍之介の俳句に、「夕闇や枝垂桜のかなたより」。 今月(3月)の新刊で、金井美恵子著『映画、柔らかい肌。映画にさわる…

山寺の扉に雲あそぶ彼岸かな

ハクモクレンが春風に吹かれ満開になっている。 青空と白い花弁(はなびら)が目に鮮やかだ。 先日、古本交差点に寄る。店内に善行堂、岡崎武志堂がある。 店頭の箱から『飯田蛇笏句集』を買った。昭和三十三年七版発行。 初版は昭和二十七年三月。角川文庫…

キンクロハジロと「トリとボク」

春分。北の風で最低気温5℃、最高気温10℃。寒さが戻る。 堀端の渡り鳥で、キンクロハジロの水面でのしぐさを眺めたのだった。 目の部分が黄色に見える。上部の羽毛が黒、下部が白い羽毛です。 キンクロハジロは漢字で金黒羽白と書く。 金は目の縁(ふち)…

キンクロハジロの群れ

堀端に渡り鳥が集まって一休みしている。羽毛の黒と白のコントラスが鮮やかだ。 キンクロハジロの群れで、人をあまり警戒していない。 人の気配を感じて近寄ってくるしぐさの鳥も見られた。 カモ科の鳥。全長は雄が四四センチ。雌は腹が白く、上体は茶色。ユ…

アキ・カウリスマキ監督の映画『罪と罰』

今月(3月)のもう一つの特集が「アキ・カウリスマキ監督特集」である。 アキ・カウリスマキ監督の映画『罪と罰』(1983年、フィンランド、93分、カラー)を観る。 出演はマルック・トイッカ、アイノ・セッポ、マッティ・ペロンパー、エスコ・ニッカ…

ミミズバイの実と『悲劇の将軍』

晴れる。最低気温6℃、最高気温19℃。 歩き回ると汗ばむ陽気である。 ハイノキ科の植物、ミミズバイの実が鈴なりになっている。艶(つや)のない黒っぽい色だ。葉は細長い形をしている。 ハイノキについて、 ハイノキ科の常緑高木。山地に自生。葉は細長い…

グローヴ・プレスのこと

「植草甚一スクラップブック17 アメリカ小説を読んでみよう」に、「ぼくの好きな50冊の小説」として、植草甚一の「ぼくの好きな小説」の書評を展開しています。 1964年、65年、66年に「図書新聞」に執筆した書評のうちの一つです。 そのなかの一…

丸谷才一と植草甚一のこと 3

「植草甚一スクラップブック17 アメリカ小説を読んでみよう」に所収の「3 アメリカ文学のたのしみ」にある座談会ですが、佐伯彰一・丸谷才一・植草甚一の三人が出席しています。鼎談(ていだん)ですね。 「現代アメリカ文学の冒険」というタイトルで三人…

丸谷才一と植草甚一のこと 2

昨年の3月にちくま文庫に入った植草甚一著『ぼくは散歩と雑学がすき』ですが、その文庫の扉に献辞があって、「丸谷才一氏へ」となっているのです。 それで、植草甚一と丸谷才一の出会いの周辺を調べていました。 「植草甚一スクラップブック17 アメリカ小…

丸谷才一と植草甚一のこと

先日、河出書房新社編・「文藝別冊 丸谷才一」が出ていました。 エッセイの川本三郎「戦争嫌い」、評論の栗原裕一郎「丸谷才一が作ったもの 丸谷才一と日本の書評文化」、徹底討議の山崎正和と三浦雅士「丸谷才一を偲ぶ」を目にしました。 川本三郎「戦争嫌…

映画『台風クラブ』

相米慎二監督(1948―2001)は、1980(昭和55)年に「翔んだカップル」で監督デビューし、独特の長回しの撮影で、俳優の心の揺れ動きを丸ごと捉えるような作風により、数々の秀作を発表しました。2011(平成23)年の没後10年を経て、シ…

岡あれば宮宮あれば梅の花

晴天で、最低気温1℃、最高気温13℃。 冬ごもりしていた虫が地上に出て来るという二十四節気のひとつ啓蟄(けいちつ)が近づいている。 まだ気温が低いので、虫の出て来る気配は感じられない。 ただ、植物の変化に春の息吹きが見られる。 白梅の花の周辺に…

鎌倉は屋敷のあとの野梅かな

二月の下旬、14℃、17℃と暖かい日がつづく。三月に入ってやや気温が下がる。 公園の梅の花が咲き出している。満開の花が増えた。 近寄って花の香りをかぐ。ほんのりと良い香りがした。 「鎌倉は屋敷のあとの野梅かな」 明治二十六年の正岡子規の俳句です…