2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

連載「子規の音」、書簡より

27日、NHKラジオの文化講演会で「1960年代の司馬遼太郎」と題する関川夏央の講演を聴く。 その語り口と司馬遼太郎の作品を見る目の確かさが印象深かった。 新潮社の「波」10月号の連載「子規の音」(森まゆみ)第二十一回を読む。 京都に来た。北白…

映画『シコふんじゃった。』とジャン・コクトー

9月から10月にかけて、広島市出身の映画美術監督・部谷京子さんの特集を開催します。部谷さんは「シコふんじゃった。」で美術監督としてデビューし、周防正行をはじめ、滝田洋二郎、根岸吉太郎、廣木隆一、河瀬直美、原田真人、吉田喜重など、名だたる監…

名月や十三円の家に住む

街路樹のノグルミ(野胡桃)が果実を付けている。枝に手が届くので触ってみた。 花穂は棘(とげ)の形をしていた。まるでハリネズミのようだ。触ると棘が非常に堅い。樹高は高くて十五メートルくらいありそうだ。 クルミ科の落葉高木。日当たりのよい山地に…

『北米体験再考』が復刊

来月(10月)の新刊に鶴見俊輔著『北米体験再考』が復刊するようだ。岩波新書である。 目次 序章 ケンブリッジ 第一章 マシースン 第二章 スナイダー 第三章 フェザーストーンとクリーヴァー 終章 岩国 あとがき 人名索引・地名索引 「終章 岩国」から一部…

「戦後70年特別対談」から2

「群像」9月号の瀬戸内寂聴×高橋源一郎の「戦後70年特別対談」で、高橋源一郎さんがフィリピンへ戦後七十年目に行った理由を語っていた。 高橋 実は先月末に、フィリピンへ行ってきたんです。僕のおじたちの慰霊のために。さっき甘粕さんの話をしましたが…

「戦後70年特別対談」から

「群像」9月号を手にとってみた。 「言葉の危機に抗って」という「戦後70年特別対談」で、瀬戸内寂聴×高橋源一郎の二人が語り合っている。 瀬戸内さんの『美は乱調にあり』をめぐって、 高橋 (前略)また縁の話をすると、伊藤野枝と大杉栄を殺したといわ…

無花果を檣燈(しょうとう)顫(ふる)へ進みゐし

「無花果を檣燈(しょうとう)顫(ふる)へ進みゐし」 「曾(かつ)て大阪安治川河口、税関官舎に住みき」の前書きがある。 檣燈(しょうとう)とは、夜間の航行でマストの前方につけている白色光の灯火。 「無花果を檣燈(しょうとう)顫(ふる)へ進みゐし…

秋風や留守の用意と旅支度

彼岸花が満開である。 ヒガンバナ科の多年草。土手や田の畦に生える。秋の彼岸のころ、高さ約三〇センチの花茎を伸ばし、長い雄しべ・雌しべをもつ赤い六弁花を数個輪状につける。花の後、線形の葉が出て越冬する。有毒植物であるが、鱗茎(りんけい)を外用…

鳰(にお)の子のおくるるに親泳ぎ寄り

鴨(かも)が川を泳いでいた。渡り鳥のヒドリガモのようにも見えた。 もう渡り鳥の飛来か? しかし、くちばしの先が黄色く見えるので、調べると、渡り鳥ではなく季節による移動をしない一年中、同じところに棲(す)みついている鳥のカルガモだった。漢字は…

凧あげと漫画の印税

鶴見俊輔特集が『現代思想』10月臨時増刊号で出ていた。 参照:http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791713066 7月24日の朝に、ニュースで鶴見俊輔氏が亡くなられたと知る。 鶴見俊輔氏の本で、初めて買った本はなんだったろうか。 平凡社の「現代…

渋柿やあかの他人であるからは

8日は二十四節気のひとつ白露で、秋分の十五日前である。曇る。最高気温28℃、最低気温22℃。 11日、晴れる。空気が乾いている。気持ちのよい天気である。最高気温29℃、最低気温17℃。 街路樹のナツメの実が赤く熟してきた。 「南九州に入つて柿既に…

佐藤忠男著『映画で日本を考える』を読む3

佐藤忠男著『映画で日本を考える』からの覚え書き。 一九三一年の西倉喜代治監督の漫画映画「茶目子の一日」の感想がある。(忘れられた秀作「茶目子の一日」他、にて) 「蘇ったフィルムたち〜東京国立近代美術館フィルムセンター復元作品特集」で、昭和六…

佐藤忠男著『映画で日本を考える』を読む2

佐藤忠男著『映画で日本を考える』で、一九一〇年代のアメリカ映画が、日本映画と日本の大衆文化に与えた影響をめぐる考察をしている。 長谷川伸の「沓掛時次郎」、いわゆる股旅ものが昭和の初めにブームを起こしたが、物語のパターンとしてはウイリアム・S…

佐藤忠男著『映画で日本を考える』を読む

新刊で、佐藤忠男著『映画で日本を考える』を読む。 「一九一〇年代のアメリカ映画が日本文化に与えたもの」で述べられている一九一〇年代のアメリカ映画が、日本映画と日本の大衆文化に与えた影響をめぐる考察が興味深い。 7月にアルバート・パーカー監督…

「太陽」1971年5月号のこと

雑誌「太陽」1971年5月号を7月に、開催中の古本市で購入した。 春にも見かけたが、まだ売れ残っていたので。 「太陽」は「特集・世界の豪華船」で、執筆者は、金子光晴、小川国夫、阿川弘之、吉田健一、辻邦生、なだいなだ、丸谷才一、中井英夫、瀬戸…

りいと鳴く蟲のこもれる芒(すすき)かな

1日は二百十日で晴れた。最高気温26℃、最低気温22℃で南の風が吹く。 台風は日本海で熱帯性低気圧になった。蒸し暑い。 「とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな」 「りいと鳴く蟲のこもれる芒(すすき)かな」 「いつ来ても園丁の居り末枯るる」 前書きは、…