2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

バスター・キートンの映画『キートン将軍』

昭和のはじめ頃の映画には音がありませんでした。日本では、話芸の伝統を受け継いで、巧みな語り口で映画を説明する「活弁」が発達し、活動弁士は映画館のスターとして人気を集めました。弁士の語りによって、映画は新たな輝きを放ちます。この機会に、ぜひ…

映画『シュトロツェクの不思議な旅』

16日、ドイツのニュー・ジャーマン・シネマを代表する作家の「ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集」からの一本、『シュトロツェクの不思議な旅』(1976年、ドイツ、108分、カラー、デジタル・リマスター版)を観る。 シュトロツェクはベルリンの刑務…

映画『カスパー・ハウザーの謎』

今月(7月)は、ドイツのニュー・ジャーマン・シネマを代表する作家の「ヴェルナー・ヘルツォーク監督特集」が映像文化ライブラリーで開催された。 15日、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の映画『カスパー・ハウザーの謎』(1974年、ドイツ、109分、…

種村季弘と山口昌男の対談から

先日、古書店で入手した雑誌「ユリイカ」1976年8月号を読む。 特集・映画の美学。 種村季弘と山口昌男の対談「映画神話の構造」に、大都映画の女優大山デブ子について語っている箇所があった。 一部引用すると、 山口 イタリアはそうじゃないと思うね。…

突風の涼しさは子の高笑ひ

二十四節気のひとつ大暑である。 梅雨明け宣言が18日に出てから連日の、真夏日がつづく。 炎天下、公園でショウジョウトンボがハスの葉にとまっていた。 緑陰に吹く風が涼しい。 「涼風の裂くばかりなる頁読む」 「突風の涼しさは子の高笑ひ」 「隣席の扇…

すひかづらたまの揚羽の長くゐず

18日、梅雨明け宣言が出た。青空で陽射しが強い。最高気温31℃、最低気温23℃。 19日、青い夏空がつづく。クマゼミは早朝から鳴きはじめる。最高気温32℃、最低気温24℃。梅雨明けの吹く風は湿度が低い。木陰に入ると爽やかである。 公園の池に、全…

女優・大河百々代と大山デブ子のこと2

八代毅監督の1938年の大都映画『争闘阿修羅街』(36分、白黒、無声)に出演している女優の大山デブ子に付いて参考になる箇所がありました。 佐藤忠男著『喜劇映画論』に、映画における笑いの「意味」について論じる箇所です。 人間がやることでいちば…

女優・大河百々代と大山デブ子のこと

3月に映像文化ライブラリーで開催された映像と音楽の共演「サウンド・アンド・サイレント」という上映会でサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんの演奏で、八代毅監督の1938年の大都映画『争闘阿修羅街』(36分、白黒、無声)を観ました。昭和13…

PR誌のこと

公園の池に寄る。梅雨空で湿度が高い。 ハスの枯れ枝の先にはチョウトンボがとまっていた。 チョウトンボの翅(はね)の光沢が綺麗だ。 ハスの葉にはクロイトトンボが眺められた。 昆虫の活動が活発である。 先日、大型書店で「ブンイチ」2016年Vol.…

「ミュージック・イン・ブック」を聴く

夜、NHKラジオ番組の「ミュージック・イン・ブック」を聴く。 第1回「自作をめぐる音楽」と題して、今週のゲストは北方謙三さんである。司会は松浦寿輝。 北方さんの好きなジャズ音楽をめぐる談話と音楽が放送される。 一曲目は、「八月の濡れた砂」(3…

峡(かひ)の白鷺夕日はものを細うなす

遠浅の浜に白い鳥が歩き回っている。 近くまで寄って行ったのだが、白い鳥は人の気配に平然としている。 餌を探している。頭に冠羽が見られない。くちばしは黒い。 コサギかと思い調べると、くちばしと眼の位置から、夏鳥のチュウサギ(中鷺)のようだ。 「…

対談「アメリカから遠く離れて」2

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』の対談「アメリカから遠く離れて」は、瀬川昌久×蓮實重彦の両氏の対談である。(司会=大谷能生)。 「ジャズと映画をめぐって」という副題が付いている。 対談での「ヌーベルバーグとモダン・ジャズ」の箇所で、M…

対談「アメリカから遠く離れて」

『瀬川昌久自選著作集1954〜2014』から、「モダン・ジャズの巨匠 ジョン・ルイス」(一九六三年十二月『スイングジャーナル』掲載)、対談「アメリカから遠く離れて 瀬川昌久×蓮實重彦」(司会=大谷能生)を読む。 対談「アメリカから遠く離れて」…

炎天や早や焼土とも思はなく

街路樹のナツメやノグルミの樹が実をつけている。 ノグルミやナツメの実が鈴なりである。 最高気温31℃、最低気温23℃。 「炎天や假(か)りに設けし出札所」 「炎天や早や焼土とも思はなく」 「梅雨の土間人を待たせて片寄せて」 三句の前書きは、「戦災…