2017-01-01から1年間の記事一覧

「図書」6月号から

「図書」6月号の川崎賢子「田村泰次郎と彼女」が興味深かった。 なにより田村の回想で興味深いのは、北京の彼女の家で「軍用電話を借り」ることができた、彼女が「軍用電話を借り」て、「山西省の陽泉」の彼のもとに長距離電話をかけたという証言である。彼…

「植草甚一日記」を読む

片岡義男と小林信彦の対談本で、「星条旗と青春と」に、一九六四年創刊の「平凡パンチ」が話題になっていて、<ぼくも当時、植草さんに何回も取材したことがあるんです。植草さんの日記に残っていますよ。>という片岡さんの発言があったので、「植草甚一日…

対談「星条旗と青春と」を読む3

片岡義男と小林信彦の対談「星条旗と青春と」の「一九五〇年代 蜜月の終り」に、片岡義男の「ぼくはプレスリーが大好き」と佐藤忠男の長谷川伸論について触れている箇所がありました。 一部引用すると、 小林 (前略)それと、五〇年代というとやっぱり触れ…

『風船の使者』のこと

夜が明けるのが早く、五月の中旬の頃より日の出が五時前だ。 夏の夜は短いものだ。 公園の池を訪れた。蛙の鳴き声は聞こえては来なかった。 とても静かである。水面を見て探したが、蓮や睡蓮の葉に蛙は見つからず、がやがやと声がするのは観光客ばかりである…

溝口健二監督の映画「浪華悲歌」と関西弁

今月の映像文化ライブラリーの特集が「生誕100年山田五十鈴特集」である。 1930(昭和5)年に銀幕にデビューし、名だたる巨匠の作品に出演して日本映画を支え、舞台にテレビにと幅広く活躍した山田五十鈴(1917ー2012)。その生誕100年に…

対談「星条旗と青春と」を読む2

片岡義男と小林信彦の対談「星条旗と青春と」で、「一九四〇年代 大いなる幻影」、「一九五〇年代 蜜月の終り」、「一九六〇年代 根こそぎの十年」、「一九七〇年代 昨日を越えて」のうち、「一九六〇年代 根こそぎの十年」に、雑誌「平凡パンチ」の創刊され…

対談「星条旗と青春と」を読む

片岡義男と小林信彦の「星条旗と青春と」を読んでいる。 戦前、戦中、戦後のアメリカ文化に対する小林信彦の思い出や体験を、その日常感覚で語っていて、なるほどなあ、と頷く箇所があり興味深く楽しい読書体験だ。 戦後史・アメリカ論として読まれるべき対…

ラジオ深夜便「ぼくの“東京今昔物語”」

NHKラジオ深夜便で、「ぼくの“東京今昔物語”」という番組を聴いた。 小沢信男さんが出演。村上里和さんが聞き手である。 冒頭、編集者の松田哲夫さんが登場し、松田さんが小沢信男さんと出してきた本とその人柄などを語る。 『東京骨灰紀行』のことですね。 …

哲学者の話を聴く

NHKのラジオ深夜便で哲学者の話を聴く。 オトナの教養講座「哲学」で、野矢茂樹さんが出演。聞き手が明石勇さん。一部を聞き書きすると、 哲学はお金のかからない道楽である。 へへ、しょうもないことを考えるんだなと考えてもらいたい。 林檎は暗闇でも赤い…

対談を読む

21日は二十四節気の一つ小満である。草木が茂って天地に満ちる時期を云う。 20日、晴れる。最高気温27℃、最低気温17℃。乾燥した風が吹く。 公園の池を訪れた。睡蓮(スイレン)の花が水面に広がって、あちこち咲いている。美しい光景。人々が睡蓮の…

はしり出て藻を刈る雨に鳴く鵜かな

川にアオサギがいた。大きな長身の鳥だ。 海鵜(ウミウ)は水中に繰り返し潜っていた。 「軒菖蒲庭松花をそろへけり」 「はしり出て藻を刈る雨に鳴く鵜かな」 「槻の南風飛燕の十字かたむけり」 飯田蛇笏の俳句で、昭和十二年(1937年)の句です。 「望…

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」

先週、ケン・ローチ監督の映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」(2016年、イギリス、フランス、ベルギー、1時間40分、カラー)を観た。観客は20人ほど。 イギリスのニューカッスルの大工ダニエルは59歳、心臓の病気で医師から休業して養生するよ…

「ポーランド映画祭」

4月26日から5月12日まで「ポーランド映画祭」が映像文化ライブラリーで開催されている。 アンジェイ・ワイダ監督の代表作9作品と若手監督の3作品が上映される。 4月、アンジェイ・ワイダ監督の映画『地下水道』(1956年、97分、白黒、デジタ…

瀧おもて雲おしうつる立夏かな

5月5日が、二十四節気のひとつ立夏であった。 梅の実が膨らんで大きくなっている。 街路樹のニセアカシアの花は風にゆれていた。 公園の池に睡蓮が咲いていた。静かな水面に顔を出している。 蛙の声は聞えない。 「瀧おもて雲おしうつる立夏かな」 「田水…

這ひ渡る蟻に躑躅は花ばかり

五月晴れで、最高気温27℃、最低気温19℃。 桐の花が青空を背景に満開になっている。風が心地よい。 ゴマノハグサ科の落葉高木。高さ約一〇メートル。樹皮は灰白色。葉は大形の広卵形で長い柄をもち、対生。五月ごろ、紫色の鐘状の花が円錐状に集まって咲…

「ユリイカ」「特集=追悼・鈴木清順」

「ユリイカ」2017年年5月号を手に取ってみました。 「特集=追悼・鈴木清順」 「鈴木清順、大いに語る」2005年12月1日の公開座談会を収録した『望星』2006年五月号、六月号をひとつにまとめ再録しています。(鈴木清順×蓮實重彦×山根貞男) …

タンポポと対談

晴れた。最高気温20℃、最低気温13℃。 乾燥した風が吹く。タンポポが黄色が鮮やかだ。白い綿毛は風にゆれている。 「新潮」5月号の特別対談「小説家の名誉と恍惚」(筒井康隆+松浦寿輝)の一部が読める。 参照:小説家の名誉と恍惚http://www.shinchosh…

葉桜や町を見下ろす白き犬

桜は葉桜になった。山吹(ヤマブキ)は黄金色(こがねいろ)の八重咲きが咲き出しました。 バラ科の落葉低木。山間の湿地に多く、群生する。葉は互生し、卵形で先がとがり、縁に二重のとげとげがある。晩春、黄色の五弁花を開き、実は暗褐色。古くから庭木と…

目に青葉の季節

前日の春の嵐から晴れ上がった。最高気温23℃、最低気温15℃。 北風が吹き、空気が乾燥し気持ちがよい。遠方の山の稜線がくっきりと眺められる。 紫の花びらの紫木蓮(シモクレン)に若葉が芽吹いています。 目に青葉の季節がやって来た。筍(たけのこ)が…

ゆで玉子むけばかがやく花曇

晴れて空気が乾燥している。最高気温21℃、最低気温6℃。 桜が散り始めました。風が吹くたびに桜吹雪になって舞う。 「ゆで玉子むけばかがやく花曇」 「膝の子に飯(いひ)やしなひや花の下」 「花人に北の海蟹ゆでひさぐ」 中村汀女の俳句で、昭和十一年(…

肩にある落花の色は濃かりけり

公園や庭園の桜は満開でそぞろ歩きの人々が多い。海外からの旅行者も増えた。 庭園にコバノミツバツツジが満開であった。 「病院の静かに混める花曇」 「肩にある落花の色は濃かりけり」 「輝きし落花花間にまぎれたり」 中村汀女の俳句で、昭和十五年(19…

なつかしい時間

朝晩は霧が濃い曇天で、桜は満開だ。花曇り、湿度が高く90パーセントほどだ。 渡り鳥のツバメは南の国からやって来て、ちちちちっとさえずる。 長田弘の『なつかしい時間』を読む。NHKテレビの「視点・論点」で著者が語った原稿をまとめたものをこうした文…

桜咲く

晴れる。最高気温20℃、最低気温9℃。枝垂桜(しだれざくら)が咲き出した。青空を背にした桜が美しい。 年々歳々花相似たり歳々年々人同じからず。 「旅人の鼻まだ寒し初ざくら」(与謝蕪村)

開花宣言とセーラー万年筆

雨のち晴れる。最高気温12℃、最低気温8℃。 気象台からの桜の開花宣言が出た。平年並みの開花という。まだつぼみのところが多い。 片岡義男の『万年筆インク紙』を読む。戦後の日本でボールペン(ボールポイント)の生産に最初に成功したのはセーラー万年…

秋刀魚焼く死ぬのがこはい日なりけり

20日が二十四節気のひとつ春分で、日が長くなった。 ツバキやタンポポの花が咲く季節になった。ぞろぞろと散歩する。 「暖かや市電の影もさまたげず」 「日脚伸ぶ窓の眺めの藪の穂に」 「たんぽぽの花の低さよ蜂を呼び」 「渋谷賑ふ」の前書き。 中村汀女…

アルフレッド・ヒチコックの映画「断崖」

「アメリカ映画特集 ハリウッドの黄金期を飾った映画たち」の一本で、アルフレッド・ヒチコック監督の映画『断崖』(1941年、アメリカ、100分、白黒、Blu-ray 日本語字幕)を映像文化ライブラリーで観る。 出演は、ジョーン・フォンテイン、ケーリー…

『俳句と暮らす』など読書中

小川軽舟の『俳句と暮らす』など読書中。新書で読みやすい。 中村汀女、中村草田男、草間時彦、川端茅舍(かわばたぼうしゃ)、藤田湘子(ふじたしょうし)について読む。すこぶる面白い。中公新書の新刊で12月25日発行。 あとがきに、 《(前略)俳句は…

筒井康隆氏の書評、松浦寿輝『名誉と恍惚』

新潮社のPR誌「波」3月号の筒井康隆氏の書評を面白く読んだ。 「懐かしい蠱惑(こわく)の長篇」と題した松浦寿輝『名誉と恍惚』をめぐる書評なのだが、筒井氏は連載中に毎月「新潮」が届くのを楽しみにしていたという。 上海で主人公が当時の日本の新聞を…

勇気こそ地の塩なれや梅真白

5日は二十四節気のひとつ啓蟄(けいちつ)であった。 冬ごもりしていた虫が地上に出て来る頃である。水がぬるむ季節だ。 最高気温13℃、最低気温5℃。風もなく曇っている。 庭園の梅林が満開だ。白梅、紅梅と良い香りが周辺に漂っている! 満開の紅梅の幹…

杉浦明平の長編小説『赤い水』のこと

みすず書房から刊行された酒井忠康著『芸術の海をゆく人』を読みました。 「回想の土方定一」という副題があるように、酒井忠康氏のわが師である土方定一への体験的回想の文章を収めています。 昨年(2016年)の月刊『みすず』1・2月合併号の「201…