2020-01-01から1年間の記事一覧

「満月雑記帳」から

梅雨の中休み、ハスが開花の季節を迎えている。白い花弁の中心に花托が見られます。 「サンデー毎日」の七月十九日号の中野翠の「満月雑記帳」に、 《前号で、今年一月十三日に急逝した坪内祐三さんの著作集『本の雑誌の坪内祐三』(本の雑誌社)が出版され…

コミさんのバス旅から

田中小実昌著『コミさんほのぼの路線バスの旅』で、コミさんこと田中小実昌さんは東京からフツーのバスをのりついで、お江戸日本橋をふりだしに、東海道を京の三条大橋までたどり着いた。 《お江戸日本橋をふりだしに、この京の三条で東海道はあがりとなる。…

花はちす雀をとめてたわみけり

梅雨の晴れ間に、公園の池にハスの花と花が散って花托(かたく)が見られました。ハスの葉にトンボもいました。ショウジョウトンボの雄(おす)です。 トンボ科の昆虫。雄は全体に鮮やかな赤色、雌は橙(だいだい)色。夏、池沼に普通に見られる。本州以南、ア…

映画『ユリウシュ』

ポーランド映画祭の一本でアレクサンデル・ピェトシャク監督の映画『ユリウシュ』(2018年、97分、カラー、日本語字幕、デジタル)を観ました。美術教師のユリウシュの父は絵描きであるのだが、息子からみて破天荒な生活を送っている。心臓発作で入院…

「図書」7月号から

「図書」7月号に掲載されている文筆者・切通理作さんの「古本屋は、無限の世界とつながっている」で、《私は物書きだが、昨年の八月からなぜだか古本屋もやっている》という。切通理作さんの地元・阿佐ヶ谷の松山通りという商店街に「ネオ書房」という店名…

映画「月曜日が嫌い」

《今年もポーランド映画祭では、民主化以前に製作された秀作から近年製作された感動の実話ドラマやコメディなど、バラエティーに富んだ作品の数々をお届けします。 巨匠アンジェイ・ワイダ監督の代表作『灰とダイヤモンド』、民主化以前に製作されたコメディ…

PR誌の連載から

カリン(花梨)の実が大きくなっていました。カリンの実は、まだ黄緑色で硬くニワトリの卵のような形です。鈴なりですね。 先日、書店で紀伊國屋書店のPR誌、scriptaの56号(七月発行)を入手しました。連載「半農半翻訳な日々」(吉田奈緒子)、「ROADSID…

今年の二度ある梅雨や額の花

梅雨の晴れ間に、アジサイの花が咲いていました。ガクアジサイ(額紫陽花)とアジサイ(紫陽花)が見ごろです。 「紫陽花の大きな毬の皆褪せし」「今年の二度ある梅雨や額の花」 松本たかしの俳句です。 『中央公論』の6月号で、対談「要再注目!いま自宅で…

ラジオの書評

朝、NHKラジオの番組の「著者からの手紙」で、『「山奥ニート」やってます。』の著者・石井あらたさんが出演。この作品は私たちのこうでなくてはいけないという思い込みをはげしく揺さぶってきます。お金はどうしているんですか。と聞かれるそうですが、とて…

飛ぶ教室「おもしろがる事のたいせつさ」

NHKラジオの夜開く学校、「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴く。今週のゲストが建築家の堀部安嗣さんで、はじめに高橋源一郎自身の今までに住んだ家についての話からはじまりました。生活の拠点にした家の数を数え(引っ越しで三十数か所)、(大阪、東京、尾道)…

文学さんぽ「谷崎潤一郎」

ヤマモモ(山桃)の木に実が紅く色づいています。熟した実は地面に点々と落ちていました。 ヤマモモ科の常緑高木。本州中部以西の山地に多く、高さ約一五メートル。葉は長楕円形で、革質。雌雄異株。四月ごろ開花し、雄花穂は黄褐色、雌花穂は花柱が紅色。実…

玻璃盤(はりばん)に露のしたたる苺(いちご)かな

クルミ(胡桃)の木が、丸い実を付けていました。まだ黄緑色をしていて、さわると硬いですね。 「更衣(ころもがえ)同心衆の十手かな」 「玻璃盤(はりばん)に露のしたたる苺(いちご)かな」 「能もなき教師とならんあら涼し」 明治36年(1903年)…

あるシリーズに「はまる」

三月はじめに、黄色の小さな花が房のようになって咲いていたサンシュユ(山茱萸)の木が実を付けていました。実はまだ黄緑色をしています。 ミズキ科の落葉小高木。葉は楕円形。樹皮ははげやすい。早春、葉より先に黄色の小花を密につける。実は熟すと赤くな…

十薬の花に涼むや楽屋裏

ドクダミの白い十字形が目立つ季節になりました。葉を千切ると独特の匂いがします。この時期は繁茂した姿を見ることができます。 ドクダミ科の多年草。日陰の湿地に生え、高さ一五~三五センチ。全体に悪臭がある。葉は広卵形。夏、淡黄色の小花を穂状につけ…

「秘密の本棚」を聴く

夜のNHKラジオの番組で、「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴く。前半の「秘密の本棚」で紹介された一冊は、ヴァージニア・ ウルフの『自分ひとりの部屋』。女性が小説を書くのに必要なのは、知的自由をささえるためには、自分ひとりの部屋と年収500ポンドが必要だ…

コロナの時代の僕ら

外出自粛でラジオを聴く時間が増えている。 先月から毎週、夜開く学校の「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いている。前半の「秘密の本棚」では、イタリアに在住の作家パオロ・ジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』というエッセイが紹介された。 「すべてが終わ…

「飛ぶ教室」の課外授業

NHKラジオの「高橋源一郎の飛ぶ教室」で、「課外授業 みんなの読書感想文」を聴いた。 前半は、夏目漱石の『こころ』をめぐってリスナー(ラジオの聴取者)からの読書感想文が朗読された。そのあとに、ゲストの小説家の島田雅彦さんが漱石の『こころ』につい…

乾いた笑い

新潮社のPR誌『波』5月号に、「追悼 志村けんさん・宍戸錠さん」と題して小林信彦さんの文章が掲載されていた。「『決定版 日本の喜劇人』最終章・改――高度成長のあと」と「追悼宍戸錠さん」名評論再録。後者は、『日本の喜劇人』第六章より再録、タイトル…

カフカのおかしさ

白水社のPR誌の「パブリッシャーズ・レビュー 白水社の本棚」2020年春号が先日届いた。「編集メモ」に、丸四年担当した雑誌『ふらんす』をこの春卒業したという編集者のM氏の記事があり、池内紀さんに単行本の企画があったらしい。《池内さんとは、この…

袷着て山吹が散るつつじが散る

さやさやと風が吹く。乾いた風にツツジの花が満開で揺れている。 「男より高き背丈や初袷(あわせ)」 「袷着て山吹が散るつつじが散る」 中村汀女の昭和十五年(1940年)の俳句です。 新潮社の『波』3月号より短期集中連載、小林信彦『決定版日本の喜…

島田雅彦の「文学さんぽのすすめ」

土曜の朝のNHKラジオの番組の土曜さんぽに、島田雅彦の「文学さんぽのすすめ」を放送。最近、『アミダクジ式ゴトウメイセイ 対談篇』は後藤明生の対談を収録した対談本であるが、島田雅彦との対談で二人の語るロシア文学の話が興味深かった。ラジオの放送は…

飛ぶ教室を聴く

NHKラジオの夜の番組で「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いた。おススメの一冊は荒川洋治の『霧中の読書』で、みすず書房の本ですね。後半はゲストの詩人の伊藤比呂美 さんの近況(主に読書生活について)と人生相談が放送された。前半と後半のつなぎに、エロル…

午後のFMラジオから

午後のFMラジオで、山下達郎の「サンデー・ソングブック」を聴く。 紀伊國屋書店のPR誌「scripta」の春号が出た。森まゆみの連載「30年後の谷根千」が最終回であった。最終回は、第十八号~二二号、一九八九年に起きたこと。 森まゆみの連載「30年後の谷…

ラジオの夜の学校

《源ちゃんの夜の学校が開校。》 夜、NHKラジオの番組で、「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いた。高橋さんのおススメの一冊は、新型コロナウィルスをめぐり、100年前の感染症について書かれたA・W・クロスビー著『史上最悪のインフルエンザ』(みすず書房)…

「サンデーエッセー」を聴く

朝のNHKラジオの番組で、「サンデーエッセー」を聴く。 漫画家のヤマザキマリさんが出演して語る。中学二年生の時の「14歳のヨーロッパ一人旅」についての経験談の痛快な話に耳を傾けた。 ひとつ、エピソードで、列車でイタリア人の「変な」おじさんに出会…

ラジオの新番組を聴きながら

NHKラジオの夜の新番組で、「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴いた。ゲスト出演に、菊地成孔(なるよし)さん。 「夜の学校が開校します」というキャッチフレーズ。「飛ぶ教室」といえば、エーリヒ・ケストナーの小説『飛ぶ教室』のタイトルを連想させます。番組…

たんぽぽや一天玉の如くなり

モンシロチョウが、黄色いタンポポの花に飛び回っていた。花から花へひらひらと移動している。オスのモンシロチョウのようです。 シロチョウ科のチョウ。最も普通にみられるチョウで、翅 (はね) の開張五、六センチ。翅は白色で、前翅の先端が黒く、前翅に二…

水浅し椿とどまり落花ゆく

ツバキが咲いている。赤い花が青空を背にして美しい。 「水浅し椿とどまり落花ゆく」 松本たかしの俳句で、昭和十八年(1943年)の句です。 朝のNHKラジオの番組で、「著者からの手紙」を聴く。 フランスの作家のフレデリック・ルノワール著『スピノザ―…

帰らなんいざ草の庵は春の風

渡り鳥のツバメがやって来た。快晴で、ソメイヨシノの花が見られるようになった。最高気温17℃、乾燥した風が吹く。 「帰らなんいざ草の庵は春の風」(芥川龍之介) 大正八年(1919年)の句で、前書きに、「教師をやめる」とあります。 書店でもらう『…

映画をめぐる対談

『望星』4月号の関川夏央・平川克美の対談「映画について私たちが語ること」と題した談話を興味深く読む。蔵原惟繕(これよし)監督の映画『憎いあンちくしょう』(1962年、日活)の石原裕次郎、浅丘ルリ子、芦川いづみをめぐり熱く語っていた。映画『…