2021-01-01から1年間の記事一覧

映画『海辺の家族たち』

公開中の映画『海辺の家族たち』にジャン=ピエール・ダルッサンが出演しているのでこれは観なければと出かけた。 監督と脚本をロベール・ゲディギャン。原題:La villa。 地中海のマルセイユ近くの別荘のある入江のさびれた漁村が舞台。突然に父親が倒れそ…

ヤマモモの熟す頃

曇りのち晴れ。最高気温28℃。 街路樹のヤマモモが赤く熟している。熟した果実は枝から落下して地面に多数散らばっていた。スズメが実をついばんでいる。 書店に寄り新刊コーナーを見ると、平台に大塚信一著『哲学者・木田元: 編集者が見た稀有な軌跡』とい…

紫のさまで濃からず花菖蒲

23日、晴れる。最高気温28℃。 梅雨時の花、ハナショウブの花が咲いている。大きな紫色の花びらが鮮やかだ。 アヤメ科のノハナショウブから改良した園芸種。葉は剣状で中脈が隆起する。五、六月ごろ、紫色・白色・絞りなどの大きな花を開く。江戸時代から…

『ケンブリッジ・サーカス』を読む

梅雨の中休みである。曇り空で、最高気温28℃。 公園の池を訪れると、ハスのつぼみがふくらんでいた。睡蓮のつぼみは見られず、葉の上を絡み合うようにクロイトトンボが飛び回っていた。 一方、ひっそりと睡蓮の葉の表面にじっとしているクロイトトンボも見…

新刊案内から

今年は例年とくらべて梅雨入りが早かった。今は梅雨の中休みというところ。紫陽花(アジサイ)の花が見頃になった。 『ちくま』6月号の新刊案内を見ると、今月の新刊に安田武著『戦争体験』が、ちくま学芸文庫にて14日発売とあった。中公文庫の安田武の『…

飛ぶ教室「翻訳の極意」

夜、NHKラジオの番組で、夜開く学校「高橋源一郎の飛ぶ教室」を聴く。 82歳のおばあちゃんの高野文子の「田辺のつる」の話から番組ははじまる。 前半の「ヒミツの本棚」は、カズオ・イシグロの最新作『クララとお日さま』が採り上げられて紹介される。長篇…

『波』六月号の書評から

新潮社のPR誌『波』六月号を頂いた。 表紙に、坪内祐三さんの三輪車に乗った写真と筆跡とが掲載されている。 トマス・ピンチョンの『ブリーディング・エッジ』刊行記念特集の池澤夏樹と矢部太郎の両氏の寄稿を読む。 「世界はゲームだぜ」(池澤夏樹) 「複…

中学生わかし蛾族を花とみぬ

夏日がつづき、曇り空で蒸し暑い。最高気温27℃。 散歩の途中に道端にクローバーの白い花が一面に広がっていた。 花と花の間を蜜蜂が飛び回っていた。近くに寄って眺める。人が近くにいてもほとんど反応せずそのまま蜜を探して飛び回っているのだった。蜜蜂…

メトロポリタン美術館みんなのうた

日曜日の朝のNHKのラジオ番組の「サンデーエッセー」を聴く。 「サンデーエッセーSP『みんなのうた』いつまでも」 大貫妙子さんの出演で、「みんなのうた」で放送された「メトロポリタン美術館」の曲の歌詞がどのようにできたか、大貫妙子さんが語る。ナポ…

PR誌から

映画『ヒトラーに盗られたうさぎ』を観たあとに読んだ新潮社のPR誌『波』5月号の特別エッセイ「あの日、ヒトラーを見た私」(安西篤子)からもう少し引用してみる。 安西さんがヒトラーがドイツで台頭した頃にベルリンのアムパーク十五番地のマンションに住…

「あの日、ヒトラーを見た私」と映画のこと

新潮社のPR誌『波』五月号のエッセイ、「あの日、ヒトラーを見た私」ーー佐江衆一『野望の屍』に寄せて(安西篤子)に注目しました。 九十三歳になる筆者がベルリンで六歳の時に見た目撃談を語っています。 《ヒトラーの勢力が増してきたある日、父は六歳の…

梅の実のいま少しほどふとりゐき

梅の木に実が鈴なりに生(な)っていました。バラ科の落葉高木で、かおりのいい白や紅の花が早春に咲きます。梅干しにするにはまだ早いかな。 「更衣(ころもがへ)ひとの煙草の香の来るも」 「梅の実のいま少しほどふとりゐき」 中村汀女の昭和九年(193…

映画はこうしてつくられる

雨上がりの公園のバラ。花の表面が雨のしずくで濡れている。 3月のミシェル・ピコリ追悼特集で上映された映画にジャン=ピエール・メルヴィル監督の『いぬ』(1962年)、ジャン=リュック・ゴダール監督の『軽蔑』(1963年)、ルイ・マル監督の『五…

妻が持つ薊(あざみ)の棘(とげ)を手に感ず

山道にアザミが咲いていた。近くに寄って眺める。細長い葉のふちには鋭いとげがあり、鮮やかな花の色やその姿が目立つ山野草である。 キク科アザミ属の多年草の総称。葉に多くの切れ込みやとげがある。花は、多数の細い管状の紅紫色の小花からなる頭状花。ノ…

新連載から

公園のバラが満開で見ごろを迎えていた。撮っていると花からの甘い香りが漂って来る。ほのかに香るバラの匂いが心地よい。 『ちくま』5月号を入手。表紙は、ラビット氏と蛸のヒグチユウコの絵。 今月号より「些事にこだわり」(蓮實重彦)というタイトルの…

リニューアルされたPR誌

先日、白水社のPR誌が届いた。 リニューアルされた「白水社の本棚」である。 2021 春号。 タブロイド版からA5判の32ページの小冊子になった。 紙に厚みがあります。 持ち運びが楽になり、開いて読みやすくなった。 新連載・「汗牛充棟だより」(北村…

蜜蜂とツボちゃんの話

先日、新緑の道端の草地に一面にクローバーが咲いていた。 花を撮影しようと近くに寄ると、蜜蜂が花をひとつひとつ点検するかのように飛び回っていた。 クローバーの花から蜜を探して吸っている。 蜜蜂を眺め、クローバーの花を撮影するためカメラを近づける…

映画『ノマドランド』

映画『ノマドランド』を観た。 2020年ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。 監督・クロエ・ジャオ。主演・フランシス・マクドーマンド。 『ノマドランド』は2008年のリーマンショックで職と家を失った主人公が亡き夫の思い出の品を詰めこんだキャンピ…

一つづつ花の夜明けの花みづき

桜が終わると、街路樹のアメリカハナミズキが咲きはじめた。 白に紅色が少し混じった苞(ほう)が開き、中心部に黄色の花が密生している。 四季折々に楽しめる街路樹である。 花が日々増える新緑の今が、とりわけ清々しく美しい。 ミズキ科の落葉小高木。樹…

PR誌から

散歩の途中、新緑の草地に黄色のタンポポがあちらこちらに見られる。 『青春と読書』4月号に掲載の、松家仁之著『泡』の作者へのインタビューを読んだ。聞き手・構成=佐久間文子。 《松家仁之(まついえまさし)さんの3年ぶりとなる小説『泡』が刊行され…

ホンキリシマが満開

ツツジ科の常緑低木のホンキリシマが満開です。枝先に燃えるような赤い小花が密集しています。 『望星』4月号を手に取って見ました。 連載「荷風の庭 庭の荷風」(坂崎重盛)第10話の冒頭の立読みコーナーがあります。https://www.tokaiedu.co.jp/bosei/p…

芝青々伏せれば丸き地球かな

「みすず」3月号の連載「賛々語々」(小沢信男)を読む。120回、タイトルは「松葉杖」。 今月はじめに小沢信男さんが亡くなられた。小沢さんの『東京百景』に所収の句集「東京百景」を読んで偲ぶことにしましょう。 好きな句を選ぶと、 「芝青々伏せれば…

長谷川四郎の『遠近法』のこと

晴れて風がやや強い。花吹雪が一部に見られる。桜のあとにツツジの花が咲き始めている。 先日、古本屋で入手した本で長谷川四郎の『遠近法』を読んでいるところ。 1 事故 2 陳述 3 旅行 4 殺人 四篇からなるオムニバス風の小説作品である。装幀・中井幸…

「白髪(しらが)のアリス 絵日記教室」

晴れて、気温が上がる。最高気温20℃。桜の花があちこちに見られる季節になった。開花したソメイヨシノが目を楽しませてくれる。 「青春と読書」4月号を頂きました。「本の数だけ、人生がある。」集英社の読書情報誌。 新連載、田村セツコの「白髪(しらが…

ミシェル・ピコリ追悼特集

12日から「ミシェル・ピコリ追悼特集」が映像文化ライブラリーで始まった。 上映作品は、 12日、ジャン=ピエール・メルヴィル監督『いぬ』(1962年、フランス、イタリア、109分、白黒、Blu-ray、日本語字幕) 13日、ジャン=リュック・ゴダー…

鵯は花食ひをり我は煎餅を

先日、桜の開花宣言が出た。例年より早かった。春は着実に進んでいる。散歩の途中、鮮やかな赤い花で、ボケの花が見ごろを迎えていた。立ち止まって撮影や観察をする。ボケの木に灰色の一羽の鳥が花をつついていた。花の蜜(みつ)を食しているようだった。…

ヒドリガモとPR誌から

晴れのち曇り。最高気温13℃。川の岸辺に渡り鳥が群れている。ヒドリガモの群れであった。群れに近づく人の気配を感じると、ヒドリガモの群れは川の中央へ向かって静かに滑るように広く散らばってゆく。越冬地から渡りで離れるのはもうしばらく先のようだ。…

文芸漫談から

『すばる』3月号の奥泉光といとうせいこうの「文芸漫談」、大江健三郎の初期の長篇の『芽むしり仔撃ち』をめぐる作品評の対談(漫談)である。 『すばる』の「文芸漫談」のタイトルは「大江健三郎の『芽むしり仔撃ち』。 奥泉 まして今回は大江さんです。僕…

『五月の読書』

ふと『五月の読書』について書きたくなった。 みすず書房の「みすず」1・2月合併号に2020年読書アンケートがあり、誰も挙げていなかった本で、高橋英夫著『五月の読書』という本です。単行本に未収録の原稿をまとめています。読後感は五月の青空のよう…

往きつ来つ目白遊べり二タ椿

最高気温14℃、日々暖かくなる。椿(ツバキ)が満開で見頃を迎えていました。赤い花、白い花とさまざまな種類のツバキの花が咲いています。つやつやした濃い緑色の葉で厚みがあります。 「又通る彼の女房や藪椿」 「目白来てゆする椿の玉雫」 「往きつ来つ…