岡あれば宮宮あれば梅の花


 晴天で、最低気温1℃、最高気温13℃。
 冬ごもりしていた虫が地上に出て来るという二十四節気のひとつ啓蟄(けいちつ)が近づいている。
 まだ気温が低いので、虫の出て来る気配は感じられない。
 ただ、植物の変化に春の息吹きが見られる。
 白梅の花の周辺に香りがほんのり漂っていた。

 「岡あれば宮宮あれば梅の花

 正岡子規の俳句で、明治二十六年の句である。
 もう一句、「家一つ梅五六本ここもここも」。
 二句の前に、前書きがあり、「旅中口吟(二句)」とある。
 
 「こどものとも」1993年3月号を眺める。神沢利子・さく。片山健・え。
 「いいことってどんなこと」というタイトルの絵本だ。

 さっきから ぴちゃ ぴちゃ みずの おとが
していました。 いぬが みずを のんでいるような おとです。
あんまり いつまでも ぴちゃ ぴちゃ いっているので、わたしは まどを あけてみました。
 三頭身の女の子が家から晴れた雪の積もった野山へ出て、ことりさん、かわのながれ、やなぎのき、かばのき、かぜ、りすさん、ゆきにほっぺたをつけてゆきのしたからきこえてくるうたごえ、ゆきのなかのきんいろのはなを見つける。
 
 いいこと みつけた いいこと みつけた
  ろ ろ ろろろ
みずが うたっていました。

 いいこと みつけた いいこと みつけた
 とっく とっく とっく
わたしの むねも うたっていました。