集英社の季刊誌「kotoba」2015年夏号を手にとってみた。
「全集 もっとも贅沢な読書」というタイトルの特集号である。
参照: 季刊誌「kotoba」 http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/
内山節氏の「何が切実な問いなのか」を教えてくれるものや岡崎武志氏の「古書店で全集を買う。」を読む。
内山節氏の文章から一部引用すると、
《ヒントをくれる「他人の思考」、
ところで、哲学はもともとは「学問」という意味に近かった。哲学という独特の分野があるわけではなく、すべての学問が哲学だったのである。だから医学の祖といわれるヒポクラテスも哲学者だし、数々の数学上の定理をつくったピタゴラスも哲学者だった。哲学はそういうところから出発しているから、いまでも領域がはっきりしない。自分でひとつの問いをつくり、その問いを解いていこうとするのが哲学である。人はなぜ生きているのかという問いでもいいし、病とは何かという問いでも構わない。自分にとっていまもっとも切実な問いとは何かをみつけだし、その問いに答えようとするのが哲学である。
大事なことは、答えをみつけだすことより自分にとってもっとも切実な問いとは何かを発見することの方にある。なぜなら問いがみつかるということは、その問いに対する答えがある程度は浮かんでいるということだからである。問いと答えとは一体のものなのである。
とすると課題は、いま何が切実な問いなのかがわからないことの方にあるといってもよい。そのときヒントを与えてくれるものが、「他人の思考」である。》 96ページ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/06/05
- メディア: 雑誌
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