いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸

 公園の池にクロイトトンボがハスの葉にとまっていた。
 梅雨明け宣言が出る。最高気温31℃、最低気温25℃。晴れて湿度が低い。
 蝉が朝から鳴き始めた。
 夕方、月が久しぶりに眺められた。上弦の月である。

 

 「いかなこと動ぜぬ婆々や土用灸
 「駅路やうしろほめきに宵花火
 「藺を刈るやうすばかげろふ笠につく

 飯田蛇笏の昭和三年(1928年)の俳句です。
 当時、立秋の前の夏の土用にお灸をする習慣があった。
 老女が夏バテを防ぐために、お灸(きゅう)をすえている。
 もぐさが燃えて熱いのだが、平気な顔でお灸をしている老女がいる。
 藺を刈るの「藺」は、いぐさである。いぐさで、たたみおもてやござなどを編む。