街路樹のコナラの実が散っていた。
「昼餉(ひるげ)置く落葉は広くみな清し」
「木の実落つきびしき音にむちうたる」
中村汀女の俳句で、昭和十五年の句です。
新刊の中野翠著『いちまき ある家老の娘の物語』の書評、「波」10月号所収。
二十年かけて完成させた「会いたかった人」のロングバージョン、と題する坪内祐三の書評である。
中野翠著『会いたかった人』の最後に登場する中野みわ、中野さんの父の祖母に当たる人で、《佐倉藩が自分たちのポイントであると中野さんは言う。》
一部引用すると、
一九九六年の『会いたかった人』の前、坪内さんは、《(前略)一九九〇年頃から私は山口昌男先生と一緒に近代日本の「掘り起し」作業を続けていた。》
《中野さんと私の気が合うわけがわかったけれど、ひとつだけ残念なのは、この本を山口昌男先生に読ませてあげられなかったことだ。いやきっと、向こうの世界で大興奮していることだろう。》
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