翻訳作法と誤訳

 ユリイカの2005年1月号は、特集が翻訳作法。『君は「自己消去」できるか?』というタイトルで金子靖柴田元幸にインタヴューして語らせているが面白い。「この言い方は普通か、普通でないか」ということに興味があったから、『英語クリーシェ辞典 もんきりがた表現集』(研究社)を監訳したと言う柴田元幸の話に注目した。

 そういうことって、翻訳する上ではすごく大事なのに、ふだんあまり問題にされないし、知ろうとしても、知ることができない。辞書を引いても「改まった言い方」「くだけた言い方」とかは書いてあっても、「個性的でかっこいい言い方」「陳腐でダサい言い方」とかは教えてくれないしね。 46頁

 ほかには舌津智之の「輝け! 名誤訳タイトル三〇選」がアメリカ映画、音楽、文学の名誤訳の例をあげて論じている。映画「追憶」(1973)の原題がThe Way We Were。映画のなかでバーブラ・ストライサンドの歌う歌詞でThe Way We Wereが繰り返されたなあ。余談だけどロバート・レッドフォードバーブラ・ストライサンドは良かった。監督はシドニー・ポラックだったんだね。