クマゼミの誕生

クマゼミ

 朝早くからセミが鳴き始める。ひときわ大きい音量。発生源へ近く寄って見る。カンナの黄色い花のそばのヤマブキの樹あたりが怪しい。茂った葉の中を目で探していると、セミがいた。ヤマブキの葉の裏側にしっかりつかまっている。透明の羽(はね)をしたクマゼミだ。じっと見ていると鳴きやんだ。急にあたりが静かになった。
  
 もぞもぞとクマゼミはヤマブキの葉から枝へ移動を始める。透明な羽の外側の縁が薄緑色をしていた。もしや、このクマゼミは羽化したばかりではないのか。
 40センチほど離れたところにあるバラの枝にセミの抜け殻があった。
 
 いつの間にか、飛び立って今はいない。