編集者と雑誌の黄金時代

池のカニ

 蝉の鳴き声、朝は聞こえてこない。静かな朝に戻った。静かなと言っても無音というわけではない。
 クルマが走る音、スクーターなどの二輪車のエンジンから出る音が混じって聞こえてくる。鳥のさえずり、人の声などもする。
 夕暮れ時に街なかで虫の鳴き声を聴いた。リーリーリーと鳴く。
 コオロギか。虫の鳴き声に季節の変化を感じる。昼間はまだ暑い。30度はあるかな。
 アブラゼミは公園の樹木や街路樹でまだ鳴き続けている。
 
 『ユリイカ』2005年8月号は、「特集・雑誌の黄金時代」。
 四方田犬彦坪内祐三の対談、「雑文家渡世」を読む。

 坪内 七〇年代半ばから八二、三年くらいまで、『ユリイカ』とか『現代思想』(1973ー)って格好いい雑誌でしたよね。その後、ニューアカのブームによって通俗化されたところがありますけど、その直前はすごく格好よかった。  36頁

 一方、四方田犬彦は、

 ある雑誌がどれだけ新人ライター、作家、研究者を輩出したかっていうのは、その雑誌の評価の一つの基準になると思うんです。『ユリイカ』は三六年間でたくさん出してきましたね。詩人だった池澤夏樹に始まり、三浦雅士から歌田明弘までの編集者。外国文学研究者は枚挙に暇がないでしょう。  36頁

 と語る。それに対して、坪内祐三は「雑誌の評価基準には、編集者もなりますね。」と言い、『現代詩手帖』から巣立っていった編集者をあげていた。

 亡くなった編集者の安原顯は『パイデイア』から始まって、文芸誌の『海』を経て『マリ・クレール』へと編集の舞台は変わったけれど、いずれの雑誌も面白かった。
 『マリ・クレール』は文藝誌の『海』が一部、引越しして来たような雑誌だった。
 たとえば、『マリ・クレール』1991年3月号を見ると、武田百合子の連載「日日雑記」の28回目が掲載されている。この号で、金井美恵子荒俣宏中沢新一の鼎談があり、古今東西の短編小説をめぐって語っている。この対談、気に入ったね。
 三人があれがいい、これがいいと対談を繰り広げるところ。
 取り上げられている作家もいい迷惑(?)だろうけど・・・。
 何度もあった特集のブック・ガイドというのが名物で、笑ってしまうほど面白かった。