『ざくろの色』と歌を聴くカエル?

ざくろの木

 早朝に投票を済ませた。
 日中は陽射しが強く暑い日だった。夕方、街路樹にざくろの木を見つける。いままで気がつかなかった。ざくろの実が、鈴なりにぶら下がっている。ざくろの色は赤くなっているのもあるが、まだ完熟した色にはなっていない。 
 このざくろの木は枝を大きく広げている。高さが6メートルほどありそうだ。もうしばらくすれば、ざくろの色は赤くなり熟するだろう。
 ざくろといえば、たしかグルジアの映画監督のセルゲイ・パラジャーノフに『ざくろの色』というタイトルの映画があった。
 この映画はサロンシネマで観た。ずいぶん前に観たのだが、この映画は言葉では伝えられない映画。観ながら、途中で眠りにおちいる。はっと気づくとスクリーンに映画が続いている。その繰り返しだった。不思議な映画。こんな映画はいままで観たことはない。
 他に、観ながら眠りにおちいった映画といえば、フェデリコ・フェリーニの『ボイス・オブ・ムーン』がある。それもサロンシネマで観た。
 この映画館の座席が大きいのでリラックスできて眠くなったのかもしれない。
どれくらい大きいかといえば、手枕をして横になってみれる。胡坐(あぐら)をかいて座れる。足を伸ばして前の席との間が広すぎる。1メートルはある。
 
 公園の池に寄り道した。池のまわりでギターを弾きながらスピーカーに歌声をのせている人たちがいた。おおきな歌声が聞こえてくる。歌がうまい。うますぎる。うますぎるが、感動はない。池のカエルは静かだ。あまり鳴いていなかった。コンクリートの縁に、カエルはじっと池の方を向いて座っていた。すこしも動かない。池をゆっくり歩きまわってみた。水中にメダカが泳いでいる。一匹、水面をカエルが泳いで行った。速い。水面を移動する時のスピードは速い。
 池のそばで、もう一人ギターとハーモニカを口にくわえてスピーカーなしで歌っている男がいた。しばらく、この男の歌を聴いていた。うん。いいね。哀切な感じがよく表現されている。二曲ほどこの人の演奏と歌を聴いていた。歌が終わった後、私はこの歌を聴かせてもらったお礼に拍手をした。すると、この人は振り向いて「ありがとう」と言った。