黒田敬子展と坂田明のサックス

袋町芸術館

 ギャラリーとカフェをやっている袋町芸術館で、『黒田敬子展』を観る。店内はカウンターに人が数人ほど座っていて、展示されている作品の前で見に来た人が二人、黒田さんと作品をめぐっての話などをされていた。入り口近くに展示されている立体のオブジェのような作品から、奥のほうへ向かって額に入った平面の絵を順番に観て行く。ブルーを基調にした色と形に遊んだような大きな作品もあった。私の気に入ったのは、原色を使ったのではなく中間色を使った一番奥の作品かな。
 以前3、4年前だったか黒田さんの作品展を、ここで観た時のこと。その日は最終日で終わって見に来た人が帰ってだれもいなくなった時、会場に残っていると、奥で一人の男がサックスの音を出しながら練習していた。私は作品をまだ見る格好で、その音を、曲を静かに聞き入っていた。黒い服を着た男で、どこかで見たことのある人だなと思ったら、坂田明さんだった。しばらく、その音をじっと聴いていた。
 後で分かったことは、この後すぐにここでコンサートがあり、そのために坂田明さんを呼んだのだそうだった。