奥野良之助の『金沢城のヒキガエル』とアオサギ

夜のカエル

 正午過ぎに橋を渡っているとき、一羽のアオサギを見た。川の中に立てられている海苔のひびの竹につかまって止まっていた。頭部に冠羽が垂れ下がっている。日光浴をしているのかな。いつもよく見かけた海鵜は見かけなかった。今西錦司ではないが、彼らは棲み分けしているのかもしれない。
 奥野良之助の『金沢城ヒキガエル』(どうぶつ社)や『さかな陸に上る』(創元社)を思い出す。なかでも『金沢城ヒキガエル』の「競争なき社会を生きる」ヒキガエルの生態の研究は面白い。研究の方法は少しヒキガエルにかわいそうなやりかたもあるが、その観察から得られるヒキガエルの世界から人の世界を見る奥野良之助の言葉が身にしみる。
 脊椎動物(もちろんヒトも含まれる)の進化の歴史をたどった『さかな陸に上る』は、魚を見ても蛙を見ても、われわれと同じ脊椎動物の仲間(?)だと実感させられる。文章は平易で読みやすい。