『ビッグ・サーの南軍将軍』とカモメ

 きのう見た白いカモメが頭の上を通り過ぎた時に、
http://d.hatena.ne.jp/kurisu2/20051108)、あっ、あの場面に似ているな、と思ったことがある。これもリチャード・ブローティガンの『ビッグ・サーの南軍将軍』の一場面の情景なのだが。この作品の終わり近くで、一羽のカモメが登場人物たちの頭の上を飛んでいる場面の情景を思い浮かべたのだった。

 第三の結末として

 一羽の鷗がわたしたちの頭の上を飛んでいた。光とともにその鳴き声が翔る、やさしい色彩の歌歌をよぎって、歴史のようにその鳴き声が行き過ぎる。わたしたちが目を閉じると、鷗の影がわたしたちの耳にとどくのだった。  190頁

 この後、「第四の結末として」の文が続くのだが、これがブローティガンの『ビッグ・サーの南軍将軍』での最後の一場面である。それは、太平洋の海岸に面して登場人物たちが、100ドル札を海にまき散らしている場面だ。頭の上には一羽のカモメが飛んでいる中で・・・。
 この太平洋へ100ドル札をまき散らす場面を読んでいると、ジョエル・コーエン監督の映画『ビッグ・リボウスキ』を思い出した。この映画のラストシーンが、太平洋へ亡くなった友の灰をまき散らす場面なのだが、この話はまた後で書いてみよう。