時間の旅

 正午過ぎ、川を渡っている時、川岸寄り静かな水面に水鳥がいた。五羽のカモが隊列を作って泳いでいる。冬の渡り鳥だろうか。
 雑誌『旅』2004年1月号(JTB発行 最終号)を続けて読む。対談「旅學講座」の西江雅之種村季弘の旅談議が面白い。少し引用してみる。

種村 (中略)旅というのはそんな風に、ある空間を訪れたことで、時間の旅になることがあるんだね。失われた時が、パッと見つかる。そういう喜びは、他の方法ではなかなかないような気がする。
西江 旅は道中。それをさらに一歩進めると、道中にいるあいだはそれが旅だとは気がつかない。しかし、一休みすると、そこで初めて自分が旅人であることを思い出す。  169頁

 この後の種村季弘西江雅之の話が読ませる。その話は後で書いておこう。