『星を継ぐもの』とラクダ

アシタバ

 一月下旬の頃の気温だという。山間部では積雪が五十センチを記録したところがあるそうだ。五日の夕方、南南西の空に三日月とそのそばに明るい金星が並んで見られた。金星は少し南西に寄った方に月よりも低いところに輝いていた。きょうの夕方は三日月が雲間にはっきりと明るく見える。うすっらと雲がかかっていて金星は見えなかった。このところ、宵の明星の金星が大きく明るい。
 東京創元社メールマガジンを読んでいると、J・P・ホーガンのデビュー作『星を継ぐもの』(東京創元社)が翻訳されて、日本で出版されて二十五年になり、今も読まれ続けているという。
 このSFは、木星の衛星ガニメデを舞台にして人類の秘密をあきらかにするような作品だったかな。本当に面白かった。わくわくするSFだった。『星を継ぐもの』は記憶に残る作品。
 『中央公論』2005年11月号で鹿島茂紀田順一郎の対談を読む。

 鹿島 極端なことを言うと、出版社が自分たちで自社の本を駆逐している。
  ただ、これは日本だけで起こっていることではないんです。フランスなんかを見ていても同じ。本の命が短くなって、新刊の点数が増え、大型店が建ち、街の本屋がなくなっています。これは世界的な傾向ではないでしょうか。  239〜240頁 

 池内紀の『自由時間』という連載で「動物園へ行こう」はラクダと対面したときに感じたことを書いている。池内さんはラクダを「我慢強い動物の代表のようだが、案外さびしがり屋ではあるまいか。その点でも、自分とそっくり。」と記す。
 朝日の「こころの風景」に夏目房之介の連載が始まった。「大人の役割」という文を読む。『おじさん入門』に触れた文が読めるかな。期待してみよう。