満月の夜

冬のハト

 正午過ぎ、川を渡っている時にカモメの群れが頭上高く通り越して行った。二十羽ほどの集団飛行。川の上の空間は鳥にとって通り道にもなっているようだ。
 夕方の東の空に月が雲間に見え隠れする。雲が切れると丸い明るい月。今夜は満月だ。冬の澄みきった空で地上を照らす月。何事も無いかのように、静かに月は地球の周りを回っている。
 池内紀の『自由人の暮らし方』2005年(みすず書房*1野尻抱影吉田健一、素白先生、内田百輭をめぐってを読む。「さいわいにもこのタイプは、しかつめらしいお説教をしない。意味ありげな訓戒をたれたりもしない。木の葉のように軽妙で、生得のユーモアをもち、風にしなる枝のようにやわらかい。」(305頁)