菜の花

菜の花

 きのう今日と寒の戻りかな。寒い。しかし、日が長くなった。寒風に雪が混じっている時もある。山間部では雪が降って積もっているという。
 通りがけに金柑(きんかん)が鈴なりに実っているのを見た。すっかり完熟している。見事なオレンジ色と大きさだ。金柑を見たその樹から遠くない空地に、菜の花も見つけた。まだ弱々しい細い菜の花だが、もう咲き始めていた。
 蕪村の句に、

 菜の花や油乏(とぼ)しき小家がち
 なのはなや魔爺(まや)を下(くだ)れば日のくるゝ

 安永二年(1773年)二月の句で、魔爺とは摂津の魔爺山。注解によれば〈二月初午が叨利天上寺の参詣日〉。
 蕪村に船や海に関連した句にどんなものがあるのか、少し調べてみよう。
 先週の新聞の切り抜きをやっと読んだ。七日の朝日新聞丸谷才一の連載「袖のボタン」が興味を引いた。「共和国と帝国」という題のタイトルの文章の冒頭部分で、「わたしはへそ曲がりで、必読の書と聞いただけで厭気(いやけ)がさすたちだし、・・・」とあり、おや、ナンダロウと引き込まれる。講談社から創刊された『RATIO(ラチオ)』に載った評論のリチャード・ローティという人の『予測不能アメリカ帝国』を、どう読んだかを書いている。ふーん。わかりやすい文で、丸め込まれた気がしないでもない。