きのう街路樹に赤い実のなっている木があった。幹にプレートの説明板がくくりつけてあり、小学生が書いたような文字で〈ナナメノキ〉と記されていた。斜め? 不思議な名前の木だな。木の高さは五メートルほどで、常緑樹である。
説明板には小さい文字で〈6月頃あわいむらさきの小さい花 モチノキ科〉とあった。
見た目にクロガネモチに似ているなぁ。
NHK教育テレビのETV特集で「もうだまっていられない〜建築家・前川國男の闘い」を観た。出演は松山巌。フランスでル・コルビュジエに学んだ前川國男の生涯の軌跡をたどり、住宅問題や建築家の倫理にまで向き合った前川を、松山巌が前川の設計した建物を訪れながら読み解く。マンションやホテルの耐震強度偽装が問題になっているが、そういうことに30年前に警鐘を鳴らしていた人物という。
種村季弘対談集『東京迷宮考』(青土社)*1に松山巌との対談がある。ひとつは〈くぼみ町の必然性〉、もうひとつが〈「東京迷路」をめぐって〉だ。松山巌と種村季弘のお二人でどちらも建物をめぐって〈東京〉を語っているのだが、これは日本の都市であればどこでも似たようなことではないのかな。
種村 たしか石川淳がいってたけど、江戸の建物というのは、応仁の乱で負けたやつが関東に逃げてきて、バラックを建てた仮住まいで、それが延々と続いているんだと。ぼくもそうだと思う。 207頁