吉田健一訳の「内地の船旅」

カヌーを漕ぐ人

 川を渡っていると、最近見かけないカモの群れに代わって、アオサギを二羽ほど見かけた。ヒドリガモの群れは北へ旅立ったのかもしれない。立つ鳥跡を濁さずかな。
 先日、カヌーを漕いでいる人たちを見かけた。
 通りがかりに古書店がある。開店して数年でまだ新しい店なのだが、まだ入ったことがなかった。店頭の100円本のワゴンの中から、森村稔の『クリエイティブ志願』(ちくま文庫)と野口富士男編『荷風随筆集(上)』(岩波文庫)を買う。
 店内の棚の本を眺める。うーむ。なかなかいい本を揃えている。店主はパソコンの画面を見つめていた。ネット書店をやっているのかも。
 その後、新刊書店で吉田健一訳のスティヴンソンの『旅は驢馬をつれて』(岩波文庫)が復刊されているのを手に取った。小沼丹吉田健一の訳の違いについて書いたことがある。*1その『旅は驢馬をつれて』に「内地の船旅」という紀行がある。ベルギーのアントワープからのカヌーでの運河づたいの紀行文。吉田健一のあとがきも読ませる。