奥野良之助の『さかな陸に上る』

睡蓮と池

 ハスと睡蓮の生えている公園の池へ寄り道する。ハスは枯れたままで、折れ曲がった茎や葉が水面に浮いていた。まだ、冬枯れのままだ。水面に目を見張っていると、なにやら動くものがいる。メダカだ。睡蓮の葉と葉の間の水の中を機敏に泳いでいた。水面にキラリとメダカの腹が光る。睡蓮は葉が枯れていなくて水面に浮いている。静かな公園の池で、一度だけなにやら音がした。睡蓮の生えているあたりを注意深く見回していると、葉のそばの水面に目玉だけを出している一匹のカエルを発見した。この春、最初に出合ったカエルである。うーむ。さっきの音は、このカエルの鳴き声かな。
 先日、6日の朝日新聞に、〈カナダのデボン紀後期の地層(約3億8千万年前)から、両生類に進化する途中の新種の魚類の化石が見つかった。胸びれに手首にあたる関節があり、前脚が誕生する直前の状態だった。〉という記事があった。魚からカエルなど両生類に進化することをめぐっての奥野良之助の『さかな陸に上る』*1を思い出した。平凡社から『金沢城ヒキガエル*2が復刊されたが、もう一冊、この『さかな陸に上る』も奥野良之助の本では面白い。