春菊の花

春菊の花

 午後から晴れ上がる。合歓木(ねむのき)に若葉が伸びていた。枯枝も日々新緑に覆われて目に鮮やかになる。夕方、通りに面した畑に春菊の花が咲いていた。夕闇が迫る頃の黄色い花は鮮やかだ。
 山下裕二の『日本美術の二〇世紀』(晶文社*1を読んだ。1999年から2002年にかけて、雑誌『is』(ポーラ文化研究所)に連載したものを単行本にしたものである。その『is』は、あとがきによると残念ながら廃刊になった。この本の元になった文は、「古美術の20世紀・視線の変節」と題して書かれたという。取り上げられている画家は、式部輝忠(しきぶてるただ)、雪舟、雪村、伊藤若冲白隠写楽長谷川等伯など。源頼朝像、高松塚古墳の発見報道をめぐっての文章も面白い。美術のブームは、なぜ起きたのか? その考察は考えさせられた。他に天明屋尚に触れている文が収穫かな。