伊藤逸平と雑誌「VAN」のこと

バラの花

 公園にあるバラ園でクイーン・エリザベスという名前のバラを見た。ピンクの大輪である。香りもいいね。
 伊藤逸平の雑誌「VAN」のことを、加藤芳郎の本で『加藤芳郎の仕事も人生もプロでなくちゃ』(中経出版*1から引用する。

 「VAN」は風刺が効いていて、とても愉快な雑誌でしたね。単なるエロ・グロじゃなかった。表紙にも「総合風刺雑誌」というキャッチフレーズがメッセージされていました。
 聞くところによると、編集方針はイギリスの風刺雑誌「パンチ」"PUNCH"とアメリカの「ニューヨーカー」"NEW YORKER"をイメージしていたらしく、誌面づくりも掲載されていた漫画も記事もウイットとエスプリの塊。ハートにビンビン響きましたよ。  172頁

 ソール・スタインバーグの絵の魅力を、この本で加藤芳郎が語っている。「VAN」でスタインバーグの作品を見ていたのかもしれない。ちょうど坪内祐三の『後ろ向きで前へ進む』(晶文社)を読み直しているが、「植草甚一的なるものをめぐって」でモダニスト*2を語っているところで、伊藤逸平さんもその一人ではないかしら。一九一二年生まれ。ふと、そんな気がした。「ニューヨーカー」と「パンチ」をイメージしての雑誌作り。どんな雑誌だったか、読んでみたいね。

*1:ISBN:4806107484

*2:そういう意味で、植草さんは一九〇八年生まれの人として見たときに、非常に特異な活動をしたわけです。今言った人たち、一九〇八年生まれ、あるいは一九〇九年生まれ、さらに一九一〇年とかその辺のいわゆる明治末に生まれた人たちは、近代日本の中でもいわゆる日本人離れした人たちというか、モダニストがとても多い世代です。  坪内祐三 『後ろ向きで前へ進む』  10頁