心配しなさんな「欲望する脳」

アンネ・フランク

 書店で『新刊展望』、『青春と読書』、『本の窓』の2006年6月号をいただく。『青春と読書』で、茂木健一郎の連載「欲望する脳」を読む。今月のタイトルは「欲望の終わりなき旅」。人間の知性の本質をめぐって書いている。ううむ。オモシロイ。頭の良さは遺伝か環境かという「氏か育ちか」の問題を語っているわけだ。氏と育ちは半々くらいが、妥当な線であるという。心配しなさんな、ということで、後をいろいろな話題を挙げながら語っている。そのなかで、以前に小林秀雄が講演テープで語っていた本居宣長の下に参集した裕福な商人のエピソードを、茂木健一郎さんは紹介していた。〈「いやあ先生、学問ほどの快楽はありませんな」〉
 小林秀雄の講演テープ*1*2を聴いたとき、あっと思った商人のエピソードだ。人間の知性が何を欲望しているかを、この商人の言葉が語っている。小林秀雄を聴いていると、いつも思うのだが、落語家の話しっぷりに似ていること。あるときは、三遊亭円生。またあるときは古今亭志ん生に似ていなくもないなぁ。
 小林秀雄といえば、一番面白かったのは杉浦茂による小林秀雄のエピソード。これには笑った。そして、親しみを感じた。たしか、糸井重里杉浦茂を訪ねて行って話を伺うという記事だった。うーむ。載っていたのは、今は廃刊になっている『アサヒグラフ』だったかな。
 今月の新刊で、保坂和志の『途方に暮れて、人生論』(草思社*3に注目。