ドクダミの花

ドクダミ

 朝から雨、夕方に止む。降りしきる中をドクダミの花が咲いていた。ドクダミの白い十字形を花びらだと思っていたが、花びらに見える部分は、苞(ほう)という「葉」であるそうだ。ぱっと見たとき、ドクダミは白い十字形の白い部分が花に見えるので、すっかりその部分が花だと思い込んでいた。

 ドクダミ科の多年草。日陰の湿地に生え、高さ一五〜三五センチ。全体に悪臭がある。葉は広卵形。夏、淡黄色の小花を穂状につけ、その基部に白い苞(ほう)が十字形につき、花びらのように見える。整腸・解毒・利尿などの民間薬として用いる。十薬(じゅうやく)。  『大辞泉

 池内紀の『世間をわたる姿勢』(みすず書房*1に所収の「東は東」を読む。獅子文六岩田豊雄時代の戯曲「東は東」をめぐっての文で、〈「東は東」がのこした問題は、いまも尾を引いているのではなかろうか。涙が人気を博する文化風土にあって笑いはなかなか受け入れてもらえない。バカ笑いははやっても道化の知恵に通じる乾いた笑いは敬遠される。岩田豊雄の場合がそうであったように、伝統芸能の新作には、おそろしく元手がかかるのだ。〉 28〜29頁