今西錦司の「見てみい」

トンボ

 公園の池へ寄り道する。ハスは背が伸びて高くなっていた。ハスの葉につかまって静止しようと、ヘリコプターのように飛行するトンボを見た。からだ全体が赤いトンボだ。あとで調べるとナツアカネらしい。

 トンボ目の昆虫の総称。頭部の複眼は大きく左右に突出し、単眼は三個ある。触角は短く、かむ口をもつ。胸部には長大な二対の翅(はね)をもつ。腹部は長く棒状。幼虫は水生で、ヤゴとよばれる。成虫・幼虫ともに他の昆虫を捕食する。不完全変態イトトンボ・サナエトンボ・オニヤンマ・アキアカネシオカラトンボなど。あきつ。かげろう。せいれい。とんぼう。  『大辞泉』  

 書店で新潮社のPR誌『波』2006年7月号をもらう。
 巻頭に茂木健一郎の「宇宙という名の物語」という文。サイモン・シンの『ビッグバン宇宙論』をめぐって、〈宇宙を知ることは、その真理を追い求めてきた人間を知ること。『ビッグバン宇宙論』の中には、日本人がその「人間観」を深めるためのヒントが沢山隠されているのである。〉と結んでいる。これを読んでサイモン・シンの本で、『フェルマーの最終定理』、『暗号解読』にも興味を持った。
 いしいしんじの〈今西錦司の「見てみい」〉というタイトルの文が好かった。思わぬ拾い物かな。

 故人を懐古するだけでなく、自分の内にその声をとりこみ、会うことのかなわなかった他の人、後生の人々に伝えていく。人について考えるとは、そのようなプロセスのことでもあるだろう。  47頁