公園の樹木でニイニイゼミが鳴いていた。この夏、セミの声を初めて耳にする。夏になって最初に現れるセミだ。鳴き声はアブラゼミやクマゼミほどの大きさではなく、耳にそれほどの負担にならないほどのかわいらしい音量だ。
黒い蝶が、ヒラヒラと植え込みのサツキの上を飛んでいた。サツキの葉の中にまぎれて生えている他の葉に舞い降りた。クロアゲハだと思うが、葉にとまった姿は、黒い翅(はね)を広げたままだった。
『蕪村遺稿』に、
わくらばに取付(とりつい)て蝉(せみ)のもぬけ哉*1
翻(ひるがえ)る蝉の諸羽(もろは)や比枝(ひえ)おろし
二句とも安永四年五月二一日の句
NHKラジオ夕刊で、「日米交換船の記録」というタイトルで作家の黒川創さんの出演の番組を、残念ながら聞き逃した。ラジオでの再放送はないのかな。鶴見俊輔・加藤典洋・黒川創の『日米交換船』*2(新潮社)をめぐって、黒川さんの話が聞きたかったので・・・。
丸谷才一の『絵具屋の女房』(文藝春秋)を読む。「チーズと甘栗」に、一九一〇年に、浅草仲見世に日本最初の甘栗屋が開かれたという。甘栗の雑学がオモシロイ。
*1:わくらば―夏の青葉の中にまじって、赤や黄色に色づいている葉。