伊藤逸平の本

メタセコイア

 街路樹にメタセコイアが何本も植えられている。二十五メートルほどもある背の高い樹木だ。通りに沿って並べて植えられている。その一帯はまるで小さな森のようだ。見上げると天高くまで幹が伸びている。メタセコイア全体の姿は真横から眺めると、細長い三角形のようなかたちをしていた。

 スギ科の落葉高木。高さ三〇メートル以上にもなる。幹はまっすぐ伸び、樹形は円錐形。樹皮は赤褐色で縦に裂ける。葉は線形で羽状につき、柔らかく、秋に紅葉して小枝とともに落ちる。化石はアジア地域に広く産出するが、現生種は一九四三年に中国四川省で発見された。公園などに植えられる。あけぼのすぎ。  『大辞泉

 みすず書房の《大人の本棚》から原田治の『ぼくの美術帖』*1を開く。「チョン・デイとオットー・ソグロー」というタイトルの文を読んでいて、原田治さんが中学生の頃知りましたという『世界の漫画』という本は、伊藤逸平さんの本かもしれないな。

 今見ると、ジェームス・サーバーやソウル・スタインベルグは、一般的ないわゆる一口漫画とは呼べない、知的な洗練を持った作風ですから、カートゥニストの範疇からは外すべきだと思います。フランスのサヴィニャックアンドレ・フランソワの仲間にしておくことにしましょう。
 ぼくの好きなタイプは、もう少しエンターテインメントの勝った五〇年代の漫画です。実にたわいのない、いかにも漫画マンガしたものです。稚気から発したアイデアを大人の世界に移したものが好きです。  84頁