かもめ食堂のおにぎり

アブラゼミ

 夜が明けると、いっせいに蝉が鳴き始める。アブラゼミクマゼミが家々の庭木や街路樹などで延々と鳴く。街路樹に植えられているマテバシイのそばを通り過ぎる時に、幹に蝉が止まっていた。デジカメをぐぐっと近寄せてみた。なぜか、逃げないのだった。この夏、初めて手で触れるほどの近くで見た。

 ブナ科の常緑高木。九州以南の海岸近くに生え、高さ約一〇メートル。葉は長倒卵形で厚く、裏面は褐色。六月ごろ、雄花穂と雌花穂とを上向きにつける。実はどんぐりで、あく抜きをせずに食べられる。防風林・都市緑化樹にも用いられる。さつまじい。まてばがし。まてがし。  『大辞泉

 映画館の最終上映時間だったこともあるのだろう。意外にすいていた。
 シネツイン2で映画『かもめ食堂』を観た。おはぎとよもぎおはぎで、ハラゴシラエして来たのだが、観終わって出て来るときには、おにぎりを食べたくなっていた。かもめ食堂はどこにある? フィンランドヘルシンキにある。
 アキ・カウリスマキ監督の『過去のない男』の主演俳優、マルック・ペルトラが登場して、かもめ食堂でコーヒーの旨い入れ方を、小林聡美のサチエへ伝えるシーンがあった。うーん。おまじないをして、コーヒーを入れてみようかな。
 ヘルシンキの市街電車に乗っている片桐はいりのミドリ、また自転車に乗ってヘルシンキの街を走る。市場をサチエとふたりで買い物に行く。それらを通してヘルシンキの街の雰囲気は伝わって来る。
 この二人に、もう一人もたいまさこのマサコという日本人女性が訪れて、店を手伝うことになる。このマサコは、アキ・カウリスマキの映画でいえば常連女優のカティ・オウティネンに、なぜか似ているような気がした。