ナツアカネ

ナツアカネ

 八月八日は、二十四節気のひとつ立秋である。夜明けとともに、蝉が鳴き始めた。アブラゼミクマゼミが途切れることもなく鳴き続けている。公園の池でナツアカネが羽を休めていた。睡蓮の葉が密集しているあたりで見かける。ゆらゆら風に吹かれている。そんな風を受けながらしっかりつかまって羽を休めているのだった。

 赤トンボの一種。アキアカネに似て、夏季は頭・胸部が褐色、腹部が橙色であるが、秋になると、特に雄は鮮紅色になる。六月末から一〇月ごろまでみられる。  『大辞泉

 『森毅の学問のススメ』(ちくま文庫)で、森敦との対談、〈『意味の変容』をめぐって〉を読んでいると、中島敦と森敦のエピソードというのが面白い。

 それでね、その中島敦君がね、カフカを読んでるんです。秀才ですから。
 その頃カフカというのは・・・・・・。
 大変なもんです。戦前ですから。そう言われてみると、彼の『山月記』にしても『李陵』にしても、やっぱり『変身』なんかの影響を受けていることは歴然です。
 そうですね。  305〜306頁