夜が明けると、蝉が競うように鳴き始める。涼しい早朝、花を持って墓参りに出かける。墓に花を活けた。墓地の中の通路にアブラゼミが横たわっていた。たった今、舞い落ちて来たかのようだった。
セミの一種。夏、最も普通にみられ、体長は翅(はね)の先まで約五・五センチ。翅は赤褐色で、油の染みたような紋がある。幼虫は地中で育ち、七年目に地上に出て羽化し、成虫の寿命は一、二週間。あかぜみ。あきぜみ。じいじいぜみ。 『大辞泉』
蝉を見つめていると、志賀直哉の『城の崎にて』の蜂の死のことを思い出したりする。
夜、NHKのETV特集で「戦争へのまなざし〜映画作家・黒木和雄の世界〜」という番組を観た。
『紙屋悦子の青春』という映画を、四月に完成させた直後に亡くなられた黒木和雄監督の戦争をえがいた四本の映画をめぐって、関係者の証言で黒木さんの戦争への思いがどんなものだったのかを探ってゆく。ふーむ。大変に興味深い話が聞けた。
『紙屋悦子の青春』で鹿児島弁で原田知世らが話す場面の撮影風景を見ていると、『父と暮せば』の広島弁を話す場面の撮影風景も,あのようだったのかな。
そういえば、『父と暮せば』で宮沢りえの話す広島弁は、とてもきれいな広島弁だったので驚いた。