カマキリと蟷螂の斧

カマキリ

 頼まれていた植木の刈り込みを、夕方に脚立を使ってする。伸びている枝を刈り込む。枝や葉の間から、カマキリが出て来た。緑色だ。前脚を上げて身構えている。
 これが、蟷螂(とうろう)の斧(おの)のスタイルかな。『荘子』の天地篇にある、あの蟷螂の斧。うーむ。見事な構えだ。ちょっと、触ってみる。すると、急いで逃げ出す。おいおい、どこまで行くんだ!
 待ちなさい。おっ、立ち止まったね。
 からだは、柔らかそうな緑色をしている。

《カマキリが前あしを上げて、大きな車の進行を止めようとする意から》弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうことのたとえ。  『大辞泉

 田村隆一の『ぼくの草競馬』から「西瓜」というエッセイを読んだ。
 西瓜をブラさげて吉本隆明さんの家へ雑誌の原稿を頼みに行ったのを思い出した話である。うーむ。このエッセイを読んだら、急に冷たい西瓜を食べたくなったなあ。