野尻抱影と冥王星

カンナ

 夜が明けると鳴きはじめていた蝉が静かだった。アサガオは白、赤紫色、絞りの花が咲き続けている。カンナの黄色い花も咲いていた。花の大きさがやや小ぶりかな。

カンナ科の多年草。高さ一〜二メートル。葉は広楕円形で、下部は鞘(さや)になる。夏から秋にかけて紅・黄・白色などの大きい花を総状につける。中南米の原産で、ヨーロッパで改良され、日本には明治末に渡来。花カンナ。  『大辞泉

 野尻抱影の『星三百六十五夜(上)』(中公文庫)を読んでいると、「遠い惑星」で冥王星について触れてる箇所があった。うーむ。今、話題になっている冥王星だ。
 一七八一年の春に、イギリスの温泉町、バースの音楽師ウイリアムハーシェル天王星を、手製の望遠鏡で発見したんだね。その天王星の外側にある海王星は一八四六年に複雑な数式によって位置を計算して発見された逸話はいいなあ。フランスのルヴェリエとイギリスのアダムスとの発見をめぐるエピソード。
 それと、野尻抱影冥王星と日本語の訳名をつけた、ご本人なんだね。

なお面白いことは、当のルヴェリエが、生涯の間一回も望遠鏡で海王星を見とどける興味がなかったという話で、これも一つの学者気質だろう。それに比べれば、私が訳名をつけただけの冥王星を、私が見ずじまいに終ったところで話にもならない。もっとも一度は見ておきたいとも思うのだが。  170頁