初秋や余所の灯見ゆる宵のほど

 夜が明けると鳴いていた蝉の声が聞こえなくなった。昼間はまだ暑いのだが、朝晩の風に吹かれると肌寒い。夕方、散歩に出かけると聞こえてくるのは虫の鳴き声ばかりだった。
 半月が南南東の空に見えた。木星は南南西に高度を下げて眺められた。
 『蕪村句集』に、

初秋や余所(よそ)の灯(ひ)見ゆる宵のほど
日は斜(ななめ)関屋の鎗(やり)にとんぼかな

 安永七年六月二十三日と安永六年の句である。
 バートランド・ラッセルの『怠惰への讃歌』(角川文庫)で、「現代版マイダス王」を読む。