茸狩や頭を挙れば峰の月

月

 秋晴れですがすがしい。日差しが強いが、肌に気持ちよい気温である。夕方、南東の空に月が昇っていた。高度は高くて四〇度くらいである。ちょうど半月になっている。月の右側へ太陽からの光が当たっているのだ。上弦の月が地平線へ没する時刻は午後十一時半過ぎになるらしい。
 電線が五本見えている。その電線へ月が掛かっているように見える。五線譜へ、音符のような月があるといったところかな。
 今は茸(きのこ)狩りの時期なのだね。『蕪村句集』に、

  几董(きとう)と鳴滝(なるたき)に遊ぶ
茸狩(たけがり)や頭(こうべ)を挙(あぐ)れば峰の月*1

 弟子の高井几董と茸狩りを楽しんだときの句かな。

*1:脚注に、鳴滝―京都の北西郊。茸が多い。(『洛陽名所集』一〇)。『句帳』に前書なし。頭を挙れば―李白「頭ヲ挙ゲテ山月ヲ望ム」(『唐詩選』六、静夜思)。尾形仂・校注より。