吉本隆明の『生涯現役』

カエデ

 朝晩は寒くなった。通りの街路樹や公園の木も紅葉がすすんでいる。カエデとイチョウが、取り分け目に鮮やかだ。青空を背景にして見事である。
 コナラの木の周辺にドングリが落ちて敷きつめられたようになっていた。歩道の部分には踏まれてつぶれたドングリがあった。『蕪村句集』に、

  高雄*1
西行の夜具も出て有(ある)紅葉(もみじ)哉
ひつぢ田に紅葉ちりかゝる夕日かな

 二句とも天明三年十月二日の句。この年に浅間山の大爆発があった。
 吉本隆明の『生涯現役』*2洋泉社)を読んだ。新書で、聞き書きを本にしたもので読みやすい。村上春樹の原稿をめぐっての例の話、ヤスケンこと安原顯さんのことなどに触れられていた。うーん。なるほどね。
 鶴見俊輔さんの『日米交換船』についても、ちょっと語られていた。

*1:高雄―京都北西郊の山。高雄の文覚は西行の数寄を憎んでいたが、法花会に一宿を乞うた西行を、その気魄に押され懇ろに饗応して帰した。(『井蛙抄』六)。尾形仂の脚注より。

*2:ISBN:4862480861