イスタンブールの熊

アオサギ

 終日、小雨が降り続く。晴れたら紅葉狩りに出かけよう。山茶花(さざんか)の木に、一つ二つと紅い花が咲き始めていた。まだ余り目立たないが、つぼみが木のあちこちに見え隠れしている。蕪村の句に、

山茶花の木間(このま)見せけり後の月
紅葉見や用意かしこき傘弐本(かさにほん)

 阿川弘之の『七十の手習ひ』(しちじゆうのてならい)(講談社文庫)から「イスタンブールの熊」を読む。うーん。オモシロイ。

「おおい、今近づいて行くその熊にだまされるな。詐欺だぞう」