ソクーロフの『太陽』

八朔

 七日は二十四節気のひとつ大雪(たいせつ)だった。「大雪」であるが、今年は思ったより暖かい。通りに面して柑橘類の木があり、枝を伸ばしている。近くで見ると八朔の実が生(な)っていた。黄色い実が鈴なりである。

ミカンの一品種。果実は表皮が滑らかでやや小形、甘みも多い。江戸末期に広島県因島で発見された。八朔柑(はっさくかん)。  『大辞泉

 アレクサンドル・ソクーロフの映画『太陽』の最終上映日だった。サロンシネマ1で観る。最終回で窓口に列ができるほど盛況だった。館内は満席。天皇という難役をイッセー尾形が好演している。口元の表情や「あっ、そう」という話し方など・・・。侍従を佐野史郎が、皇后を桃井かおりが演じている。ソクーロフは戦争のさなかに引き裂かれる天皇と、敗戦後のマッカーサーとの会見までを、おそれや弱さをもったひとりの人間として慈しみをもって描いている。ユーモラスなシーンもあって、思わず笑う。
 そういえば、今日は六十五年前に真珠湾攻撃のあった日だ。そして、ジョン・レノンの命日。
 「週刊文春」の連載で小林信彦の「本音を申せば」を読む。クリント・イーストウッドNHKテレビの「クローズアップ現代」に出演したときの『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』をめぐる話に触れていた。
 九日は漱石没後、九十周年。