生海鼠にも鍼こゝろむる書生哉

トウカエデ

 街路樹のトウカエデが紅葉している。落葉していないで枝にまだ残っていた。色が少しくすんでいるが、黄褐色で軽やかな感じがする紅葉だ。昨日、川に海鵜がいて、潜っては浮き上がってくるのを繰り返しているのだった。久しぶりに海鵜を川面(かわも)に見かけた。その数日前だったか、同じ橋の上を横切って飛んでゆく海鵜がいた。黒い色をした姿で、特徴は首が長いことだろうか。

カエデ科の落葉高木。葉は浅く三つに裂けており、秋に紅葉。四、五月ごろ、淡黄色の花がつき、翼のある実を結ぶ。中国の原産で、街路樹や庭木にする。  『大辞泉

 蕪村の句に、「生海鼠(なまこ)にも鍼(はり)こゝろむる書生哉」。
 なまこをめぐって、なんだかユーモアのある句だね。うーむ。なまこにも、肩こりなどあるのだろうか。
 もうひとつ、奈良の東大寺興福寺の僧兵である奈良法師を詠んだ句、「秋の夜や古き書(ふみ)読む奈良法師」。どんな古き書を読んでいるのだろう。
 山本容子の『マイ・ストーリー』(新潮社)を読み始める。