美の壺、鉄瓶

 昨夜、NHK教育テレビの「美の壺」という番組を観た。先週は「和菓子」で、今週は「鉄瓶」であった。
 横浜の日本茶専門の喫茶店では、鉄瓶で沸かした湯でお茶を入れる。鉄瓶でお茶を入れると、お湯がまろやかになり、日本茶が美味くなる。
 砂鉄を使った鉄瓶は江戸時代に岩手県盛岡市で生まれた。江戸時代中期に煎茶が普及すると、江戸時代初期から茶道が盛んだった地である盛岡で、「茶の湯釜」を作っていた鋳物師によって、使いやすい湯沸しの道具として鉄瓶が考え出され全国に広まった。
 鉄瓶の意匠(デザイン)の細部に、作り手の遊び心による機能と美しさを兼ね備えた「かたち」を見ることができる。
 鉄瓶は使い込めば使い込むほど、独特の風合いを持って来るんだね。
 鋳物といえば、今でも五右衛門風呂を作っている工場のある広島市可部も、背景に中国山地の砂鉄があったからなんだなあ。その鋳物の技術は工作機械の鋳物部品に生かされている。
 その後「視点・論点」という番組では「日々をつくる習慣」と題して、長田弘さんの話を聞いた。知恵の力、習慣の力、そういった力に自覚的でありたい、そう私は思っていますと語られていたのが印象に残った。
 参照:「美の壺http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20061222.html