アキ・カウリスマキのコメント

辻占福寿草

 年の暮れから、『甘茶日記』と『目白雑録2』の二冊を読んでいる。フィンランドアキ・カウリスマキ監督のコメントが最高という中野翠の文に、にやりとする。

 それでもやっぱり・・・・・・オマケの特典ディスクは楽しかった。全四巻のうちの三巻目(おもに戦前の作品を集めたもの)についていた特典ディスク。世界各国の小津好き監督七人へのインタヴューが収録されていて、フィンランドアキ・カウリスマキ監督(現役監督では私はこの人が一番好きかもしれない)のコメントが最高。
 小津監督に話しかけるスタイルで、こんなことを呟(つぶや)いていた。
「私は未来より過去をみつめるのが好きな人間です。小津さん、あなたもそうだと思います」
「私は自分の墓に、〝生れてはみたけれど〟と彫ります」  『甘茶日記』 99〜100頁

 もう一方の『目白雑録2』も小津安二郎監督の映画をめぐって書いているが、そのほかの文で、不意に深沢七郎花田清輝坂口安吾石川淳らへの寄り道話が面白い。ふーむ。金井美恵子の最初のエッセイ集『夜になっても遊びつづけろ』をちょっと読み直したくなるね。それと『岸辺のない海』も。
 今、ラジオ深夜便の「新春インタビュー」を聴いている。「芝居は日々進化する」と題してイッセー尾形さんがゲスト。聞き手は須磨佳津江アナウンサーである。その問答がオモシロイ。
甘茶日記目白雑録〈2〉―ひびのあれこれ