暗黙知に根ざした文化のこと

ヒドリガモ

 川の岸辺に、ヒドリガモの群れがいた。排水口から流れ込むきれいな水へ向かって、くちばしをパクパクさせている。餌をすくっているようだ。この冬初めて近くで眺める。
 『中央公論』2006年12月号で、養老孟司の「鎌倉傘張り日記」と、甲野善紀茂木健一郎の対談「現代科学を〝身体性〟と〝クオリア〟で乗り越える」を読む。茂木健一郎の現状認識に納得するところあり。

 おそらくグーグルは現代の黒船だと思います。日本では「身体性が大事だ」ということも、一つの暗黙知として知られているので、意外と納得されやすい。しかし新しい文明の前に我々の身体的な暗黙知に根ざした文化が果たして生き残れるのかどうか。そういう意味で我々は瀬戸際に立っているというのが、僕の現状認識です。  205頁